【クラブW杯】2ゴールを決めたドウグラス。チームを3位に導き、名実ともにクラブ史上最高の助っ人へ

2015年12月20日 小田智史(サッカーダイジェスト)

途中出場で大奮闘。「僕らにとって、3位になることが一番大事だった」

1点目を挙げた直後、ドウグラスは喜びに浸らず、自らボールを拾ってプレーを再開させた。 (C)SOCCEER DIGEST

 広島を2年ぶりのJリーグ王者に導いた立役者、ドウグラス本来の姿がそこにはあった。
 
 準決勝のリーベル戦では終盤に足がもつれるなど疲労が顕著で、3位の座を懸けた広州恒大戦はベンチスタート。出番は1点ビハインドの58分にやってきた。いつも通りのシャドーで起用され、森保監督からは「良いポジションを取って、ダイレクトで捌けるなら捌く。無理なら、ターンして自分で運び、シュートチャンスを逃さないように」と指示が出ていたという。
 
 すると70分、左サイドからのCKにひとりがニアで潰れ、ファーサイドでフリーになっていたドウグラスが頭で押し込み、待望の同点弾が生まれる。「誰かがボールをそらすか、触らずにそのまま流れて来るか、予測して入った」と絶妙の嗅覚でゴールを陥れたが、得点に沸く会場とは対照的に、喜びに浸らず自らボールを拾い、プレーを再開させた。勝利への執念を感じさせたワンシーンだが、本人はその場面をこう振り返る。
 
「点を取ったらチームは勢いに乗る。そのままの流れで行きたかったし、PKになるのは嫌だったので、もう1点を取りに行った」
 
 ドウグラスの思惑通り、ゲームは追い付いた広島ペースに傾いていく。78分、79分と右サイドからチャンスを作ると、83分には再び右サイドの柏がマークを振り切ってクロス。浅野のヘディングシュートはバーに弾かれたが、その撥ね返りにドウグラスが素早く反応し、DF2枚に挟まれながら打点の高いヘッドでゴール左に流し込んだ。
 
「こぼれ球が来ることを信じて、(ゴール前に)ポジションを取っていた。ボールが高かったので難しかったですけど、上手く合わせることができた」
 
 準決勝のリーベル戦、広島は相手よりも多くチャンスを作りながら0-1で敗れ、苦汁を舐めた。勝てる可能性は十二分にあった試合を落とし、「勝つためにはチャンスをいかにものにするか」「決める人が決めないと勝てない」と改めて学んだという。悔しい想いをして得た教訓を大一番で体現し、チームを2-1の勝利に導いて見せたのだ。
 
「僕らにとって、3位になることが一番大事だった。確かに万全ではなかったけど、試合に出場してチームに貢献できたので良かった。今季が始まる前は、世界の舞台でこういった成績を残せるとは、想像もしていなかった。でも、良いタイミングで良い仲間に恵まれた。僕ひとりの力ではなく、チームの力で(3位を)勝ち取ったんだ」
 
 今季外国籍選手シーズン最多得点を塗り替え(最終的にリーグ2位の21点を記録)、自身初のトップリーグ制覇を果たしても、ドウグラスは決して満足していない。信頼する最高の仲間たちとともに、次なるタイトル(天皇杯)を手にするまでは――。

【PHOTOハイライト】広島 2‐1 広州恒大
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事