今季2度目の連敗。相手が“湘南対策”を講じてくるなかで、改めて問われる「相手を見ること」

2023年05月04日 隈元大吾

苦境を乗り越えてこそ、新たな景色は見えてくる

柏に1-2で敗戦の湘南。今季2度目の連敗となった。写真:滝川敏之

[J1第11節]湘南1-2柏/5月3日/レモンガススタジアム平塚

 先制の場面は不意に訪れた。

 28分、最終ラインから繰り出されたロングボールにマテウス・サヴィオが反応し、湘南の最終ラインの背後に抜け出しシュートをねじ込む。際どくもオフサイドラインをかいくぐった背番号10の動き出しは、VARの支持を得て、柏にこの日最初の歓喜を呼び込んだ。

 かたや湘南も、柏に先んじて決定機を迎えていた。幅を使いつつ自陣から前進すると、茨田陽生のグラウンダーのアーリークロスが相手の背後を捉える。そうして平岡大陽がこれに応え、GK松本健太との1対1を制してゴールネットを揺らした。

 しかし鮮やかな一連も、こちらはVARによってオフサイドが確認され、仕切り直しとなった。柏の先制点は、この直後のことだ。

 湘南の前への意識は攻守において感じられた。対して柏はロングボールで裏返し、さらにセカンドボールで先手を奪い、押し込んでいく。

 それでも、ハーフタイムを前に追いついたことは、ホームチームにとってポジティブだったろう。前半終了間際、コーナーキックの混戦のなかで杉岡大暉がシュートをねじ込んだのである。
 
 ゲームを振り出しに戻して迎えた後半、奪って素早く背後を狙うなど柏のカウンターは鋭い。対して湘南も押し込むが、55分だった。途中出場の山田直輝がスルーパスを通し、奥野耕平がゴール前に躍り出てフィニッシュに持ち込むと、柏はこれを阻み、すかさずロングフィードを送る。

 前線で反応したのは細谷真大だ。若きエースはマークに付いた大岩一貴を振り切り、GKソン・ボムグンとの1対1に持ち込んで冷静にシュートを流し込んだ。先制点の場面と同様、柏はピンチを凌ぐや裏返し、生み出したチャンスをモノにしたのだった。

 再び、追いかける展開となった湘南は、その後、攻勢を強め、幾度かゴールに迫った。80分過ぎには山田の縦パスを受けた阿部浩之が決定機を迎えもしたが、シュートは柏の粘り強い守備に阻まれてしまう。最後は柏が巧みに時間を進めたこともあり、ゴールを奪うことは叶わず、勝負は1-2で決した。

 湘南は前節の神戸戦に続いて敗れ、今季2度目の連敗となった。前々節の名古屋、前節の神戸、そして今節の柏と、それぞれに湘南対策を講じてくるなかで、山口智監督がつねづね求めている「相手を見ること」が改めて問われている。

 茨田が厳しく指摘する。

「自分たちでボールを持っている時に、相手を見て上手くポジションを取れていないことがあった。また、クロスカウンターの形で相手が裏を狙って来ている感覚もあったので、ボールの移動中に相手の状況を見て、しっかりラインの上げ下げをやっていかなければいけない」

 負傷者がにわかに増えている点も気になるところだ。厳しい台所事情も含め、チーム力が試されている。5位以上を目標に掲げるなかで、苦境を乗り越えてこそ、新たな景色は見えてくるに違いない。

取材・文●隈元大吾

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