【番記者推奨!横浜FCのブレイク候補】異色の経歴を持つ新井瑞希の強気な姿勢。考え方はシンプル。期待を背負い、結果を出すだけ

2023年02月03日 波多野詩菜

セレソンのスターに憧れ、目標が生まれる

これまで欧州、J2、J3の舞台を経験してきた新井。自身初のJ1でどんな活躍を見せるか。(C)YOKOHAMA FC

 来るべき2023年シーズン、リーグを盛り上げるのはいったい誰か。新たなスターは生まれるのか、未来を切り拓くニューヒーローは出現するのか。番記者推奨のブレイク候補、今回は横浜FCのMF新井瑞希だ。

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 異色の経歴を持つMFが、Jの舞台に帰ってきた。MF新井瑞希。東京Vからポルトガル1部ジル・ビセンテへのレンタル移籍を経て、今季横浜FCに完全移籍した25歳のドリブラーだ。

「ポルトガル1部は5大リーグの1個下。世界的に見たら6番目のリーグ。チャレンジしてきて、いろんなものをつかんだ。経験は大事だと思って行ったので、自分のプラスになった」

 狭いスペースでも相手の逆を突くボールタッチで相手をかわせるドリブルを武器に、約半年間でリーグ8試合に出場。欧州で得た経験値に誇りを持ち、日本に戻った。

 経歴は少し、変わっている。浦和ユースから向かったのはJリーグではなく、当時元日本代表MF本田圭佑が経営参画していたオーストリアのホルン。プロ1年目から海を渡った。その後はJ3相模原、同富山を経て、19年夏からJ2東京Vに加わり、昨夏2度目の欧州挑戦に踏み出した。欧州、J2、J3の舞台を経験しながら唯一経験したことがない舞台こそ、今季戦うJ1となる。

「今年は横浜FCさんのために、ゴールとアシストで数字を残すことを一番に考えている。もし今年20点、30点取ったら(また海外から話が)来るかもしれない。それくらいのモチベーションでやる」

 幼少期の憧れは、自身が生まれたころに全盛期を迎えた元ブラジル代表FWロナウドだった。サッカーをしていた父の影響もあり、1997年から在籍したインテル・ミラノ時代などのビデオを何度も見続けた。中高生になると、憧れの対象は同じくセレソンのFWネイマールに変わった。年代の異なる世界的スターのプレーを目に刻んだ新井には、選手としての目標が生まれた。

「結果を出すのは大事。そのうえで見ている人が楽しいと思える、そういうプレーヤーになりたい。いるだけでプレーを見に来てもらえる価値のある選手になりたい」
 
 好きな背番号は10。空いてれば横浜FCでも付けたかったという。言葉にはいつも強気がにじむ。注目と強気は時に批判につながることもあるが、それでも目立ち、発信することを選ぶ。とてもシンプルな考え方ゆえだ。

「もちろん達成できなかった時は自分に(批判が)来るんですけど、人の期待を背負ったほうが、結果を出すか出さないか、分かりやすくなる」

 今季の横浜FCは、異例の39人体制。層は例年以上に厚く、序列を覆さなければメンバー入りにはたどり着けない。ただ、ライバルの多さに関しても強気で言う。

「何とも思わなかった。オプションが多く、チームとして上に行けるならいい」

 J1定着、26年までの初タイトル獲得へ。クラブが描く成長曲線を引っ張る気概は、誰よりもあふれている。

取材・文●波多野詩菜(スポーツニッポン新聞社)

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