日本代表は森保監督の続投が決まったけど、カタール・ワールドカップまで代表を支えてきたコーチがチームを離れた。新たなコーチングスタッフとして、前田遼一、中村俊輔、中村憲剛、名波浩らが候補にリストアップされていると報道されている。

　日本代表歴のある有名な名前が挙がっているけど、代表選手だったからといって、イコール指導ができるわけではない。噂が出ている人達も「あれ？俺？」という感じじゃないかな。

　その前に俊輔はまだS級ライセンスを持っていないでしょ？ これを機にライセンス制度をなくしてもいい気がする。長い期間の厳しい講習を経て、S級をとっても海外では使えないのだから。海外で使えるのならステータスになるのにね。

　俊輔はフリーキックのコーチとして期待されているのかもしれないけど、彼が在籍したマリノスやジュビロ、横浜FCで一緒にプレーしてきた後輩から、後継ぎが１人も出てきていない。俊輔のフリーキックの技術は、簡単に教えて身に付くものではないということじゃないかな。

　そもそも、その極意を誰かに教えてきたのか分からないけど、近年、代表の選手からも優秀なキッカーが出てこないのを見ると、フリーキックに関しては、誰かに教わるのではなく、少年時代からの積み重ねが重要なのだと思う。
 

　また、名波はどのクラブに行っても、監督として結果を出せていない。それなのにいきなり日本代表のコーチになるのもどうかと思うよ。理論的なものは持っているのかもしれないけど、ジュビロでも松本でもダメだったからね。

　憲剛や内田（篤人）みたいに、アンダー世代の代表コーチにワンポイントとして入るのはまだ分かる。でも前田のように、昨季まで磐田のユースで指導していて、クラブのトップチームの監督も経験していないのに、いきなり日本のトップに上がるのは変じゃないか。

　やはり指導者としては結果を出しているかどうかがすべてだと思う。森保監督はサンフレッチェ広島時代に優勝を経験しているから良いけど、代表は結果を出している指導者が集まるべき場所だよ。

　ポイントは、今回噂に挙がっている人たちを森保監督が本当に選んでいるのかということ。組織が実績より名前で選んでいる感じがするけど、総理大臣が内閣の大臣を決めるように、森保監督がコーチを決めるべき。ブラジルでは監督がコーチングスタッフとドクターも決めちゃうからね。

　個人的に森保監督は、広島で一緒に仕事をしてきた人をコーチに任命してやったらいいと思う。代表監督の役割はチームを勝たせることであって、指導者を育てることじゃないんだからさ。

【著者プロフィール】
セルジオ越後（せるじお・えちご）／1945年７月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部（現・湘南ベルマーレ）で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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