【バイエルン番記者】ケルン戦でリーグ通算1000勝なるか!? 今シーズンは記録ずくめの1年に

2015年10月23日 パトリック・シュトラッサー

アーセナル戦の敗戦を悲観的に捉える必要はまったくない。

アーセナルに敗れ公式戦の連勝が「12」でストップしたバイエルンだが、リーグ戦では9連勝中と好調を維持する。(C)Getty Images

 10月20日の夜、おそらく世界中のサッカーファンがほっと胸をなで下ろしたはずだ。あのバイエルンですら負けることがあるのだ、と。
 
 公式戦12連勝中だったバイエルンはCLのグループステージ3節でアーセナルと対戦。69%というボール支配率が示すとおり、圧倒的に試合を優位に進めながらも相手の速攻に苦しみ、0-2で今シーズン初黒星を喫した。
 
 とはいえ、この敗戦を悲観的に捉える必要はまったくない。アーセナルを除けば、同グループのオリンピアコスとディナモ・ザグレブは明らかな格下。勝点をとりこぼす可能性は極めて小さく、16強入りはほぼ確実と考えていいだろう。
 
 今週末、バイエルンは新たな金字塔を打ち立てるだろう。10月24日のケルン戦(ブンデスリーガ10節)に勝利すれば、ブンデスリーガ通算1000勝という偉業を達成することになるのだ。
 
 バイエルンはこれまでブンデスリーガで1713試合を戦い、999勝を挙げている。負け数は上位10クラブの中で最も少ない329試合で、引き分けは385試合。得点数(3713)と失点数(1906)でも2位ブレーメン(得点2933・失点2505)を大きく引き離している。
 
 999勝に辿り着くまでに擁した期間は50年余り。ブンデスリーガに初参戦したのは1964-65シーズンで、当時のチームにはフランツ・ベッケンバウアー、ゼップ・マイヤー、ゲルト・ミュラーといった錚々たるメンバーを擁していた。彼らが中心となり、68-69シーズンに初優勝。その後の長きに渡る繁栄の礎を築いた。
 
 ちなみに他国で比較してみると、レアル・マドリーがリーガ・エスパニョーラで通算1590勝を挙げている。ただ消化試合数は2686とバイエルンよりも973試合多く、1シーズンあたりの平均勝利数ではバイエルンが約19.5勝と上回っている。
 
 ブンデスリーガ通算の勝率は58.3%とさほど高くないものの、2012-13シーズン以降は82.9%と驚異的な数値を記録。現チームが目指すのは、ベッケンバウアーの世代ですら成し得なかったリーグ4連覇だ。
 
 今シーズンはもうひとつ新たな記録が生まれるかもしれない。ここまで8試合で12ゴールを決めているロベルト・レバンドフスキが現在の好調を維持できれば、71-72シーズンにゲルト・ミュラーが達成した1シーズンでの最多得点記録(40ゴール)を塗り替える可能性は十分にある。もしかしたら、その71-72シーズンに樹立したチーム全体の得点記録(101ゴール)も更新するかもしれない。
 
 バイエルンにとって今シーズンは、記録ずくめの1年になるのではないだろうか。
 
文:パトリック・シュトラッサー(アーベントツァイトゥング)
翻訳:円賀貴子
 
【著者プロフィール】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
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