【日本代表 26の肖像|町野修斗】ゴールへの飽くなき希求とチームに対する献身。“覚醒”を遂げた男は、陰に日向に存在感を放つ

2022年11月16日 隈元大吾

得点力の向上には何が必要?「覚醒。覚醒したいです」

追加招集でカタール行きを決めた町野。「湘南でやってきたことを全力で出したい」と意気込む。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 いよいよ開幕が迫るカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はFW町野修斗(湘南ベルマーレ)だ。

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 カタール・ワールドカップ(W杯)に出場する日本代表メンバーが発表される10日ほど前のことだ。4年に一度の大舞台について、町野修斗は「半年前まではテレビで観る側だった」と口にした。

 件の述懐は、W杯と自身との距離がこの半年のあいだに近づいたという実感を逆説的に表している。加速度的な成長を示す23歳は果たして、当初の26人には選ばれなかったものの、DF中山雄太の負傷離脱に伴い追加招集された。

 町野は今季、J1得点ランキング2位、日本人選手ではトップの13ゴールをマークした。なかでもにわかに注目を集めたのが、第14節から第18節だ。2得点を挙げてチームを勝利に導いた神戸戦を皮切りに、5試合で6得点を積み上げた。

 唯一、ノーゴールに終わった第16節・C大阪戦以外、チームが勝利を手にしている事実も意義深い。振り返れば今季の湘南は、町野がゴールを決めた試合はリーグ戦で負け知らずである。

 一気にゴールを量産したこの少し前、とあるインタビューで語られた言葉が印象深い。得点力の向上には何が必要かを問われ、町野は言った。

「覚醒。覚醒したいです」
 
 以降の軌跡は、まさしく覚醒と評していいだろう。背景には、湘南に加入し、J1を肌で感じた昨季の経験がある。

「去年のシュートを外したシーンを振り返ると、もう一歩運べたなとか、ひと呼吸おいて打っても良かったなというのが何個かあった。それに気付けたことで、ゴール前で落ち着くことが去年よりできていると思う」

 参考にしているという点取り屋の存在も見逃せない。ポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキだ。

「得点のパターンが豊富で、両足や頭、クロスからも決められる。ボールも収められるし、裏にも走れる超万能型。先生のような選手だと思っています。今季は試合会場までのバスの移動中に動画をけっこう見ていた」

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