平畠啓史が選ぶ、J1年間“至極の11人”|鈴木優磨には心の馬力を感じた。西村拓真はマグロ並みの推進力と運動量

2022年11月12日 平畠啓史

脱皮、羽化を繰り返し、力強い選手になった

平畠氏が選定した今季の“至極の11人”。Jアウォーズで選ばれた11人はあえて外してセレクト。MIPは鹿島の鈴木優磨だ。(C)SOCCER DIGEST

 Jリーグアウォーズも終わり、MVPやベストイレブンが発表されたが、ここではそのベストイレブンには入らなかったものの、今シーズンの活躍が印象的だった選手をピックアップしてご紹介する。

 GKは上福元直人(京都)。ゴールキーパー=守護神ではない。神にもすがりたくなるような危機的なシーンでチームを救うセーブを見せるゴールキーパーこそ、守護神と呼ばれるにふさわしい。

 まさに上福元は「神」、「守護神」と呼ばれるような活躍を幾度となく披露。研ぎ澄まされた集中力でいかなるシュートやディフレクションにも反応するだけでなく、ディフェンスラインの背後もしっかりとケア。

 アグレッシブな戦いを見せる京都と上福元のプレースタイルの親和性は高く、インパクト十分なパフォーマンスだった。

 左サイドバックには永戸勝也(横浜)。左足のクロスが素晴らしいのはもちろんのこと、エウベルがアウトサイドでボールを受けた時のインサイドのランニングが、F・マリノスの左サイドの攻撃に躍動感を生み出した。

 三丸拡(柏)や山中亮輔(C大阪)など左サイドバックやワイドのポジションから、左足で高精度のクロスを送れる選手は魅力的だった。

 センターバックにはアレクサンダー・ショルツ(浦和)。対人の強さだけでなく、持ち運ぶドリブルも素晴らしい。プレーにムラがなく、常に安定したパフォーマンスを見せる。

 キックの精度も高くPKで5得点。今シーズン32試合出場で6得点は見事な活躍だが、さらにイエローカードを一度ももらっていない。今シーズンの記憶に残しておきたいディフェンダーの1人だ。
 
 もう1人は荒木隼人(広島)。アグレッシブで楽しいサッカーを披露した広島を後方から支えた。競り合いに強く、外国籍のフォワードとも対等に戦える。プレーは安定の域に入って、目立たないくらいになっているが、常に好パフォーマンスを継続している。

 普段、右サイドバックではプレーしないが、サイドでの活躍が顕著だった岩崎悠人(鳥栖)を右サイドバックの位置に。スピードに乗ったドリブルで仕掛けるシーンは何度見ても気持ちいい。

 その仕掛けに迷いがないので、見ている側の期待感が膨らむ。アグレッシブに仕掛け続けた岩崎の今シーズンのプレーも、しっかり記憶に残しておきたい。

 ボランチには野津田岳人(広島)。1人の選手が様々な経験を経て変化していくプロセスを見ることも、長くサッカーを見る楽しみのひとつ。野津田は脱皮、羽化を繰り返し、ゲームを仕切り、泥臭く献身的にプレーする力強い選手になった。広島の中盤に堂々君臨した野津田のプレーぶりに頼もしさを感じた。

 ボランチのもう1人は渡辺皓太(横浜)。動くことを止めず、常に攻守に関わる姿勢は見事。ただ繋ぐだけなら怖さはないが、攻撃的な姿勢があるので、プレーに怖さがある。

 守備にも強度があり、寄せも鋭い。攻撃的なF・マリノスにあって目立たないかもしれないが、貢献度は非常に高いものだった。
 

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