「教訓にすべき」福岡対名古屋の“異例のゴール”に家本元審判員が見解。頭同士の接触で転倒、プレー続行の先制点に阿部勇樹は「悪いとは思わない」

2022年09月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

脳震盪が疑われる状態でプレーを続け、得点を認めた審判の判断は正しかったのか

福岡対名古屋で話題を集めた2つの得点を、DAZNの『Jリーグ ジャッジリプレイ』が取り上げ、議論が交わされた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 DAZNの配信番組『Jリーグ ジャッジリプレイ』で、9月3日にベスト電器スタジアムで行なわれたJ1第28節、福岡対名古屋での異例の得点シーンが取り上げられ、ゲストで出演した元国際審判員の家本政明氏、元日本代表の阿部勇樹氏らが議論を交わした。

 問題のシーンは開始2分。名古屋の相馬勇紀が自陣から前線へフィードを送る。このボールに反応した福岡のGK永石拓海と宮大樹が頭同士で激突し、転倒。それでもプレーは続けられ、こぼれ球を拾った名古屋の重廣卓也が、ペナルティエリア右からゴール前に折り返すと、混戦から最後は森下龍矢が押し込み、名古屋が先制点を挙げた。

 選手の脳震盪が疑われる状態でプレーを続けさせ、得点を認めた審判の判断は正しかったのか。

 阿部氏は、「名古屋側として、味方同士だから続けさせてよという気持ちもあるし、(福岡側としては)大丈夫かな、という気持ちもあるし、本当に難しいジャッジだと思う。ただ、(名古屋は)先に点を取りたいという気持ちはあるでしょうから、ボールを拾ってプレーを続けてしまった重廣選手のプレーは悪いとは思いません」と見解を示した。
 
 また家本氏は、「事故が起きてしまうのは致し方ないものだが、安全や安心・快適さとスポーツがフェアであることのバランスを取りながら、試合ができる限り安全にプレーできることを目ざしている」との競技規則を挙げたうえで、主審が福岡の選手同士の接触の程度を把握できない立ち位置にいたことを指摘。そして、プレーを止めるべきであったと持論を語った。

 さらにこの試合では、もうひとつ取り上げるべき問題のシーンがあった。21分、福岡のジョルディ・クルークスが相手との接触で倒され、すぐに起き上がれず。これを見た名古屋のレオ・シルバが意図的にボールを外へ蹴り出した。試合は福岡のスローインで再開。前嶋洋太はフェアプレー精神で相手に返そうと敵陣方向に投げたのだが、このボールを右サイドでルキアンが拾い、ゴール前へクロスを供給。そしてJ・クルークスが左足で合わせて、ネットを揺らした。

 この行為に名古屋の選手や長谷川健太監督は猛抗議。その結果、福岡の長谷部茂利監督は非を認め、勝ち越し点献上を選手に指示。ゲーム再開で、ボールを持ち運んだ名古屋の永井謙佑に対し、福岡の選手たちは何もせず、永井はそのままゴールに流し込んだ。

 このシーンについて家本氏は「リスペクトが問われる場面で、フェアプレーをどう考えるかがすごく大事。この事象を今後、教訓にすべき」と述べ、阿部氏は意図的に勝ち越し点を献上した福岡の判断について、「いまできる一番良い解決方法だったと思います」と称賛した。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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