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【感動秘話】思考停止で廃人寸前だった父親を救ったゴール。当時10歳の高橋少年が起こした奇跡

カテゴリ:高校・ユース・その他

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2022年07月10日

プロサッカー選手にこだわる理由

相生学院高でプロを目指す高橋新太郎。フィジカルに課題がありながらも、足もとの技術や戦術的インテリジェンスはすでに目を見張るレベルにあるアタッカーだ。写真:海空

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「僕は息子に救われた」

 息子とは、現在、相生学院高校(兵庫)のサッカー部に在籍している1年生・高橋新太郎のことだ。3歳の時からサッカースクールでボールを蹴り始め、足もとのテクニックを磨きつつ、優れたオフ・ザ・ボールの動きやインテリジェンスも身に付けてきた彼が目指すのは、言うまでもなくプロサッカー選手である。

 創部3年で兵庫県2位になった相生学院高サッカー部で、しかもジェリー・ペイトン(元アーセナルのGKコーチ)という有能な監督の下でその夢に向かう新太郎の過去を振り返ると、プロにこだわる理由が見えてくる。

 それが母・麻衣子さんの死だ。新太郎が10歳の時、16年10月11日に不慮の事故で最愛の妻を失った父・正彦さんは当時をこう述懐する。

「突然の事故なので、もう(頭の中は)真っ白でしたね。心の中にいるもうひとりの自分が『いや、ありえない』と思っていながらも葬式の準備をしていました。亡くなった妻がいる部屋で僕ら家族も寝ることになりましたが、息子はずっと泣いていました」

 これ以上ない深い悲しみに包まれる中、妻の死から数日後、正彦さんはあることを思い出す。

「妻が火曜日に亡くなって、水曜日、木曜日を経て金曜日の夜に新太郎にこう聞いたんです。『そういえば、明日は土曜日だからサッカーの大会があるけど、さすがにサッカーは気持ちを落ち着かせてからやったほうがいいから』って」
 

 しかし、新太郎は「試合に行くよ」と決意する。

「(母を亡くした)実感が湧かなくて、やる気も出ませんでしたが、サッカーはお母さんが応援してくれていたことだし、(プロサッカー選手になることが)自分の夢でもあるので、ここで行かなかったらお母さんに申し訳ないと」(新太郎)

 ほとんど寝ていない状態、いわば最悪のコンディションで試合に臨んだ新太郎は、「ここで結果を残してやろう」という強い想いもあって、冷静なトラップから右足のシュートで魂の決勝ゴールを奪う。それは奇跡と表現しても大袈裟ではない出来事だった。

 事実、その姿を目の当たりにした正彦さんは素直に「凄えな、こいつ」と思った。2021年10月15日、正彦さんは自身のツイッターでこう書いている。

「5年前の今日、妻が亡くなって4日後、泣き続けてろくに寝ていない息子が『ママは僕のサッカーを応援してるから』と試合に行った。

一学年上の試合0-0からの決勝ゴールを決めた。

涙が止まらなかった。

思考停止で廃人寸前だった僕の心は再び動き出し、前を向く事ができた。

僕は息子に救われた。」

 ずっと応援してくれている父親の期待、そして亡き母親の想いに応えられるように──。新太郎は夢の実現に向かって走り続ける。

構成●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

【動画】奇跡の一撃。思考停止で廃人寸前の父親を救ったゴール
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