【サッカーダイジェストの視点】宿敵・韓国に機能しなかった「縦に速いサッカー」。再考の余地はある

2015年08月06日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

準備不足や疲労などを考えれば、堅守速攻は現実的な選択肢。

北朝鮮戦に比べて守備は安定。守護神の西川も身体を張って韓国の攻撃を防いでいた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 守りを固めて、少ないチャンスに賭ける。韓国戦を振り返れば、日本はいわゆる"弱者のサッカー"を展開したと言っていいだろう。

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 ただ、決してネガティブな選択肢ではなかった。ハリルホジッチ監督がボヤく「準備期間の短さ」、連戦や移動での疲労、新戦力を組み込むうえでの連係面の未熟さを考えれば、堅守速攻は現実的な戦い方だった。
 
 実際、守備陣は90分間に渡り集中を保ち、長身FWのキム・シンウクに仕事をさせなかった。アンカーに抜擢された藤田は、トップ下のジュ・セヨンをマンマークして決定的な仕事をさせなかった。結果的にPKで1失点したものの、ロングボールで逆転負けした北朝鮮戦の反省をきっちりと活かした形だ。
 
 問題だったのは、「縦に速いサッカー」を志向した攻撃面だろう。「就任して以来、最もチャンスが少ない試合だった」とハリルホジッチ監督が話したように、決定機はわずか。ゴールは山口のミドルによる1点のみだった。ロングボールをキープするなど最前線で孤軍奮闘していたCFの興梠も、周囲のフォローに恵まれずスローダウンするシーンがほとんどだった。
 
「相手の背後を効果的に狙えるほど、動きや技術のクオリティがなかった。そのために背後にボールが出せませんでしたし、カウンターでチャンスを作り出す可能性も低かったということです」
 
 ハリルホジッチ監督がそう言うとおり、確かに「クオリティ」に問題があった。何度か迎えたカウンターのシーンでは、イージーなパスミスが目立った。自分たちでチャンスを潰していたと言えなくもない。
 
 
 

次ページ投入した3選手が機能しなかったことこそ最大の誤算。

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