「批判の声は理解できる」露オーナーのチェルシーを率いるトゥヘル、クラブへの非難に理解示す「逃げ出すことはできない」

2022年02月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

「非現実だった出来事が、我々の心を曇らせている」

チェルシーに対する批判の声に理解を示したトゥヘル。(C)Getty Images

 ロシア軍によるウクライナへの軍事的侵攻は、サッカー界にも波紋を広げている。ウクライナ代表のプレーヤーは反戦の声を上げ、マンチェスター・ユナイテッドはロシアのアエロフロート航空とのスポンサー契約を打ち切り、ドイツ2部のシャルケは同じくロシアのガスプロム社のスポンサーロゴをユニホームから外す選択をした。

 さらに、欧州サッカー連盟(UEFA)はサンクトぺテルブルクで開催予定だったチャンピオンズ・リーグ決勝の開催地をフランスのパリに変更することを決定。欧州の各国リーグでは、試合前に両チームの選手がともに「STOP WAR」の横断幕を掲げる反戦キャンペーンが次々と実施されている。

 そんななか、ロシアの大富豪であるロマン・アブラモビッチがオーナーを務めるチェルシーを率いるトーマス・トゥヘル監督が口を開いた。

 チェルシーは2003年にアブラモビッチ氏によって買収されて以降、その資金力にも支えられ、2度の欧州制覇、5度のプレミアリーグ優勝などを手中に収めてきた。だが、イングランドではロシアのウラジーミル・プーチン大統領との繋がりが強いとされるオーナーに対し、英国内での経済活動を禁じる、もしくは資産を差し押さえるなどの制裁を科す可能性が報じられている。

 そうなった場合、チェルシーの経営における影響は必至だ。万が一、クラブ経営が許されなくなった場合は、オーナーが交代する可能性もゼロではないと指摘されている。
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 英紙『The Guardian』によれば、28日に開催されるカラバオ・カップ決勝を控えた25日の会見に出席したトゥヘルは、「これが問題でないかのように装うべきではないし、私もそう思っている」とコメント。「私にとっても、ここにいる皆にとっても、選手にとっても状況は最悪だ。誰も予想していなかった。非現実だった出来事が、我々の心を曇らせている」と嘆いた。

「UEFAがチャンピオンズ・リーグ決勝の場所を変えたことは絶対的に理解できるし、理由は最悪だ。できるなら純粋なサッカーの話だけをしたいが、この状況では不可能だろう。クラブや、クラブを代表する我々に対する批判的な意見は、ある程度は理解できるし、そこから完全に開放されることはない」

 しかし「我々はあなたがたが思っているよりも、多くの情報を持っていない」とも語り、「今のところは流れている報道や議論について知っている。実際に(オーナーへの)決断が下されるまでコメントしない権利を取りたいくらいだ」とも述べた。

「それでも、ヨーロッパにかかわることであり、ヨーロッパで起きていることで、我々はその一員だ。逃げ出すことはできない。ドアを閉めることもできない。この状況で無視もできない。だから、今はサッカーに集中したい。選手たちにもそう言っている。今いるこの場所で、平和で自由に暮らせることは、特権なんだ。そして、サッカーの試合をすること、スタジアムでファンと一緒に感動的でありながら平和な環境を持てることも、まだ特権なんだよ」

 会見中、チームの明るいニュースとして「エヌゴロ・カンテの調子はいいよ。アスピリクエタもいい。こういう状況だと監督はぐっすり眠れる」と明かしたドイツ人指揮官。だが、「この状況が続く限りは皆が曇った心をずっと抱えていて、なくなることは無いんだろう」とも口にした。

 カラバオ・カップ決勝は27日に行なわれる。対峙する相手は同胞のユルゲン・クロップ監督が率いるリバプールだ。選手やサポーターの精神的な影響が懸念される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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