【番記者“激薦”|川崎】紅白戦メンバー外から大学MVPに。群を抜く“成り上がり力”で佐々木旭は力強く駆け抜ける

2022年02月24日 波多野詩菜

「ワールドカップに出て日本を代表する選手になりたい」

9節・横浜戦で途中出場し、J1デビューを飾った佐々木。今後のさらなる活躍に注目だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ついに幕を開けた今季のJ1リーグ。それぞれのチームとしての戦いぶりが気になる一方、ではその中で注目すべき選手は誰か――番記者が独自の観点で必見プレーヤーをピックアップし、その魅力を伝える。今回は川崎フロンターレのDF佐々木旭を紹介する。

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 流通経済大から加入したDF佐々木旭の、"成り上がり力"に刮目してほしい。大学サッカー界屈指のDFとして複数クラブによる争奪戦の末に川崎の入団に至ったが、エリートコースを歩んできたわけではない。這い上がってきた経験と実績は群を抜く。

 まず、埼玉平成高→流通経済大。

 高校生の時は目立つ存在ではなく、本人曰く「行く大学がなかった」。そんな時にインターハイ予選に来ていた同大の大平正軌スカウトに声を掛けられ、進学が決まった。

 続いて、紅白戦メンバー外→大学MVP。

「1年生チームでは紅白戦にも出られない感じだった。一番下からのスタートだった。みんなはチームが上がって試合に出ていたりしたので、負けたくない思いで4年間頑張った」。最終学年では関東大学1部リーグのMVPに輝き、獲得争奪戦の対象となった。

 そして、川崎→日本代表へ。

 流通経済大の中野雄二監督は言う。「日本のサッカー界で、左サイドバックは長友選手以降、誰が担えるのかというテーマがある。もしかしたら今年の活躍次第では、急きょ日本代表に招集されるくらいの能力を持った選手」。両足ともに高い精度を誇り、前線に運ぶ能力や落ちつきも光る。大成の可能性に、恩師も太鼓判を押す。
 
 大学入学時はボランチで、2年の夏に「伊藤敦樹さん(現・浦和)に似ているから」と勧められたサイドバックに転向。これが転機となり、4年時にはセンターバックも務めた。

 小学生の頃からクラブのOB、元日本代表MF中村憲剛氏のファン。ストラップを買い、動画を見、会場でも応援していた。練習参加時やインカレ前の合宿で偶然同じホテルに宿泊していた際など、憧れの人からは加入前から直に、プロでの根幹となる「止めて蹴る」や「パススピード」について助言を受けてきた。

「まずはフロンターレで活躍して、ワールドカップに出て日本を代表する選手になりたい」。それが佐々木の描くこれからのステップ。軽やかに愚直に、駆け上がる力を持っている。

取材・文●波多野詩菜(スポーツニッポン新聞社)

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