マルセイユを蘇らせた70歳の老将と34歳のストライカー【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2024年04月18日

年金生活をスタートさせると思われていた傷心の指揮官が

ガセ監督(左)とオーバメヤン(右)。(C)Getty Images

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 OMこと上り調子のマルセイユを、ふたりのベテランが牽引している。今シーズン4人目の監督に就任するや、チームを快進撃へと導いた70歳の老将と、ELの通算得点ランキングでトップに躍り出た34歳のストライカーだ。(文:フランソワ・ヴェルドネ/訳:結城麻里 2024年4月4日発売ワールドサッカーダイジェスト『ザ・ジャーナリスティック フランス』を転載・加筆)

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 今シーズンのリーグ・アンは、若い監督が目立っている。スタッド・ドゥ・ランスのウィル・スティルは31歳、ニースのフランチェスコ・ファリオーリは34歳、トゥールーズのカルレス・マルティネスは39歳だ。こうした若獅子たちがベンチを仕切るようになった時代の流れに逆行するかのように、マルセイユは老将を頼りにして、苦しいシーズンを乗り切ろうとしている。

 今シーズン4人目の指揮官として、マルセイユを率いているのはジャン=ルイ・ガセ。御年70歳の老将だ。1人目のマルセリーノ・ガルシア・トラルは2023年夏の監督就任からわずか89日で政権を追われ、続く暫定監督のジャック・アバルドナドを経て、3人目のジェンナーロ・ガットゥーゾは在任5か月足らずの2月20日に解任された。

 ガセの招聘が驚きを呼んだのは、その少し前にもニュースになっていたからだ。22年5月から、ガセはコートジボワール代表を率いてきたが、今年1~2月に開催されたアフリカ・ネーションズカップのグループステージで2敗を喫し、自ら監督の座を退いたばかりだった。しかも、この辞任がカンフル剤となったのか、ネーションズカップの決勝トーナメントにかろうじて駒を進めたコートジボワールは、自国開催のその大会を制し、通算3度目のアフリカ王者に輝いている。

 フランスの人々は、こう信じていたはずだ。歴戦のガセといえども、さすがにもう終わりだ。傷心のまま、いよいよ年金生活をスタートさせるに違いない、と。ところが、だ。マルセイユの監督に就任したガセは、予想外の好スタートを切り、フットボールの指揮官に年齢など関係ないと証明してみせている。

 シャフタール・ドネツクを3-1で破ったヨーロッパリーグ(EL)の一戦を皮切りに、リーグ・アンでモンペリエを4-1、クレルモンを5-1で下すと、ELではビジャレアルを4-0で撃破。さらにリーグ・アンでナントから2-0の勝利と、怒涛の5連勝を収めてみせたのだ。しかもスペクタクルな戦いぶりで、奪ったゴールは5試合で「18」を数えている。

 リーグ・アンでは25節終了現在、順位をガセ就任前の9位から7位に上げ、チャンピオンズリーグ(CL)出場圏内の4位との勝点差も「8」から「3」へと縮めている(編集部・注/29節を終えて1試合消化が少ないマルセイユの暫定順位は9位、4位との勝点差は「10」へと広がった)。

 ELでも、ラウンド・オブ16の第2レグでビジャレアルに1-3で敗れたものの、ベンフィカ・リスボンと対戦するベスト8に駒を進めている。

 おそらくガセに託されているのは、今シーズンいっぱいまでの采配だ。後任はパリ・サンジェルマンの前監督で、現在はカタールのアル・ドゥハイルを率いているクリストフ・ガルティエと目されている。来シーズンのCL出場権を獲得するか、今シーズンのELで優勝するか、そうした快挙でも果たさない限り、おそらくガセにマルセイユでの未来はないだろう。
 

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