欧州1年目の24歳日本人MFが“衝撃ゴラッソ”で待望の初得点をゲット!「あそこまでは持っていける自信があります」【現地発】

2025年10月21日 中田徹

後藤は“古巣サポーター”から激励を受ける

カメラ目線での撮影に応じてくれた松澤。右手の包帯には盟友を応援する「14」の文字が。写真:中田徹

 10月19日、シント=トロイデン(STVV)対アンデルレヒトが2-2の引き分けに終わると、FW後藤啓介のもとにアンデルレヒトの選手たちが歩み寄り、健闘を称え合った。やがて後藤はひとり、アウェーサポーター席に近づき挨拶すると、アンデルレヒトのサポーターは「ゴートオー! ゴートオー!」と後藤の名前を叫んだ。

「俺はアンデルレヒトからシント=トロイデンに、レンタルで来ています。(保有元チームへの挨拶について)それは日本の文化である。国は違えど、リスペクトはするべき」

「国は違えど」の一言には、郷に入っては郷に従うのと同時に、他国に住んでプレーしても日本人としての道徳心や美徳は失わない。今は敵味方に分かれて戦ったが、やはりアンデルレヒトのサポーターは俺の仲間だ――という思いを込めたのだろう。そして、それはしっかり彼らに伝わっていた。
 
 191センチの後藤より1センチ長身のMFネイサン・デ・キャットは17歳という若さながら、アンデルレヒトの中盤を引っ張るビッグタレント。STVV戦では11分に、鮮やかなミドルシュートでゴールネットを揺らした。その逸材に対して後藤は81分、猛然とプレスを仕掛けて転がすと、「おい、立てよ!」と促した。

「あのシーン、面白かったです」と伝えると、いたずらっ子のように後藤は笑って「でしょう? ですよね。彼とはずっとやってきたので、アイツも分かっていたから」と言った。

――「分かっていた」とは?

「俺が行くのもアイツは分かっていたし、アイツが転ぶのも俺は分かっていた。あれは、俺が先にボールに触っていたのでシミュレーションです。お互い、分かっていたので面白かったです」

 後藤とデ・キャットは試合後、熱いハグを交わした。

 アンデルレヒトに移籍した後藤は、そのリザーブチーム、RSCAフューチャーズの一員として24年1月12日のベルギー2部リーグ、ベールスホット戦でデビューゴールを決めている。デ・キャットはこの試合で初めてRSCAフューチャーズのベンチに入り、1か月後に初出場を果たした。以来1年半、ふたりはRSCAフューチャーズで切磋琢磨した。

「アイツとは一緒にいたので感慨深いです」

 12月13日、アンデルレヒトのホーム、ヘット・アストリット・パルク(ロット・パルク)での再戦で、後藤はSTVVの勝利とゴールを狙う。

「今度はしっかり勝ちたいです。今日はデ・キャットが決めて、相手の9番(18歳のツベトゥコビッチ)も決めたのに、自分だけ決めることができなかった。その借りは向こうで返したい」

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