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【独占ロングインタビュー】酒井高徳が語るシュツットガルトでの3年半|中編 「考えることをやめたら、終わってしまうという覚悟がある」

カテゴリ:ワールド

遠藤孝輔

2015年05月20日

「ツヴァイカンプ」ってすごくいい言葉だと思う。

ドイツでは1対1の勝負、ツヴァイカンプがサッカー文化として根付いている。 (C) Getty Images

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――その点はたしかに、ドイツと日本で大きな違いがありそうです。
 
酒井「ボディコンタクトが増えれば、自然と知恵がつきますよ。腕を使うとか、腰の入れ方を工夫するとか。そうなると今度は腕の筋肉をもっとつけようとするので、必然的に進化していくんです。
 
 でも、ボディコンタクトがなかったら、その話が始まりませんよね。例えば、足下でボールを持っていても、相手が寄せてこないから大丈夫。その間に周りの状況を確認すれば済むから、ボールを止める練習だけしていればOKという考え方を持った選手がいます。
 
 でも、ドイツではボールを止めた瞬間、相手にググッと寄せられる。だから相手に寄せられても、視野をしっかり確保できるようにならなければいけないんです。仕方がない部分はあります。イングランドやドイツにはそうした文化が根付いていますから。
 
 ただ、そこに日本が追い付こうとしているのなら、もっと模倣すべきです。それこそ中国や北朝鮮は日本を参考にして、いま強くなってきているわけですし」
 
――良いところを盗むという発想ですね。
 
酒井「そうです。自分たちのものにすればいいんです。ハリルさんがA代表の選手にあれだけ(戦うことを)求めているのだから、ユース年代もそうならないと。このあいだ、ドイツ人の4歳の子がそこのグラウンドで、思いきりスライディングしていましたよ」
 
河岸「恐ろしいね(笑)」
 
酒井「スライディングされた子は痛がっていたけど、すっと起き上がってプレーを続けていました。そういう文化が根付いているんです。
 
 日本はもっと取り入れなきゃダメだと思いますね。いま、俺はその環境でやっているから、そういう部分を伝えたいと考えています。球際で勝てるか勝てないか。それがベースにないとダメ。サッカーは進化していくものだけど、そのベースは変わりませんから」
 
河岸「1対1のデュエルよね、やっぱり。ドイツ語で言う『ツヴァイカンプ(zweikampf)』が大事」
 
酒井「そう、ツヴァイカンプってすごくいい言葉だと思う」
 
河岸「アジアでは相手を傷つけようと削ってくる選手が珍しくない。けど、こっちの人たちはそうじゃない。フェアだよね。ツヴァイカンプが」
 
酒井「そう、足とかじゃなくて、しっかりボールを狙っている」
 
河岸「だから、誰も怒らないし、腹を立てない。アジアとドイツでは激しさの意味合いが異なるし、欧州経験がない選手はこの感覚が分かりにくいと思う。シンプルにボールを奪いたいから激しくいく。そういうベースがないと、やっぱりメッシみたいな選手は出てこないのかなと。バルサの選手とか、1対1をめちゃくちゃ頑張るからね」
 
酒井「バルサ、マジで凄いですよ。いまはちょっとスタイル変わったけど」
 
河岸「縦に速いサッカーをしているよね」
 
酒井「まあ、あの3人(メッシ、スアレス、ネイマール)が前にいたらね」
 
河岸「すごくワールドカップ仕様だと思うな。しっかり守って、縦に速く攻める。あらゆるポジションの選手が、そのチーム戦術を忠実に遂行していると思う」
 
酒井「俺は個人的にバイエルンが(バルサに)勝ってほしかった。でも、あのバルサの縦に速いサッカーは脅威。とくにあの3人は。
 
 それから2シーズン前のバイエルンは本当に恐ろしかったですね。チャンピオンズ・リーグの準決勝でバルサに圧勝したホームの試合。メッシを完全に封じ込めましたし。いまが悪いわけじゃないけど、ハインケス(前監督)の時が一番いいサッカーをしていた」
 
河岸「激しかったね」
 
酒井「あれは正直、勝てないなって思いましたもん。シュツットガルトは1-6で負けましたからね。先制点を奪えたんですけど……」
 
――どうしようもない感覚でしたか?
 
酒井「もう無理でしたね。相手の選手が13~14人いる感覚でした。攻撃しようと思っても、前にあれだけ人数を割いていたのに、なんで後ろにもこんなにいるのって感じ。守備のオーガナイズが凄かったです。
 
 あのリベリやロッベンが100パーセントの力で戻って、自陣のコーナー付近でも守っているんですから」
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