中村 在籍年数が長いから、ついつい集客プロモーショングループの話になると真面目な方向になってしまうけど、昔を知らない若い世代の人たちがそう言ってくれるのはうれしい。ところで、今年の「川崎の車窓から」では、目玉というか、特別に企画していることはあるの?
島貫 「川崎の車窓から」を開催した初年度には、実際、本物電車が登場したという話がありましたけど、それから数年間、用意できていなかったんですね。でも、今年はなんと、5年ぶりにフロンパークに本物の電車が登場します。しかも、もともと『東急電鉄田園都市線』で使用されていた車両が運ばれてくるんです。
中村 おっ、それはすごい。車両はどこから運ばれてくるの?
島貫 長野県の上田市からです。今回運ばれてくるのは「上田電鉄7200系」といって、田園都市線で使用された後、長野県の上田電鉄で使用されていた車両なんです。その車両が今年5月に引退。このイベントに合わせて長野から川崎まで約200kmかけてフロンパークまで運んできます。
中村 テレビで電車を運ぶ様子を見たことがあるけど、かなり大がかりだよね。いよいよ企画が壮大になってきたね。
島貫 日中走ることができないので深夜に移動して、フロンパークまでやってくるんです。しかも、この車両、映画『サマーウォーズ』でも描かれていたりと、かなり話題になっていて、現地ではすでに引退セレモニーも行っているんですよね。
中村 電車界ではアイドルみたいな存在なんだね。試合当日は他にも何か企画しているの?
島貫 もうひとつ目玉があります! いま、「東急バス×フロンターレ」のラッピングバスが2台あるんですけど、今回、何とイベントに合わせてもう1台、ラッピングバスが追加になるんです。それが試合当日お披露目になります。今回、「東急バス」がかなり協力してくれて、すごいかっこいいデザインになっているので楽しみにしていてください。あとは電車の運転席のブレーキハンドルをモチーフにした「ボトルキャップオープナー」も発売するので、これも鼻でクスッと笑ってもらいつつ、購入してもらえたらなと。
中村 ホント、何でも商品にしちゃうよね(笑)。でも、炭酸飲料を開けるときにはいいかもしれない。「プシュ」って音がでたりして。
島貫 今年は初年度以来、5年ぶりに本物の電車が登場しますし、鉄道ファンのみなさんにも、きっと満足してもらえる、“鉄分多め”のイベントになっていると思います。
中村 鉄分。それ、ずっと言おうと思ってたでしょ?(笑)
島貫 ばれましたか……。それとフロンパークに電車車両を搬入するには、敷地内のポールを撤去したりと、かなり大変なのですが、川崎市が理解を示してくれているので本当に助かっています。
中村 それもこれもこれまでの積み重ねの賜物だね。
島貫 川崎市とそうした密な関係性を築けるようになるまでには大変だったと思うんですよね。だから、いま、担当している僕らは、周囲が何でもかんでも協力してくれるからといって、そこをはき違えてはいけないと思っています。
中村 いま携わっているスタッフがそういうことを言ってくれるのがうれしいというか、大事だと思う。昔を知る僕らが苦労していた当時のことを言っても、当事者でなければ、理解するのはなかなか難しい。でも、そうした時代を経て、のフロンターレがあるということが少しでも伝わっていればうれしいなと。今後、選手も変われば、スタッフも変わっていくとは思いますけど、クラブの歴史を知ることは決して悪いことではないですからね。
●8/15 鳥栖戦「2018川崎の車窓から~東急グループフェスタ~」開催のお知らせ
http://www.frontale.co.jp/info/2018/0730_15.html
取材・構成●原田大輔(SCエディトリアル)