【黄金世代】第5回・本山雅志「愛するアントラーズになぜ別れを告げたのか」(♯4)

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年12月07日

欧州挑戦? あと少しってのはありましたね

鹿島に残るべきか、欧州挑戦に踏み出すべきか。20代後半、揺れ動いた時期があったと明かす。写真:筒井剛史

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 小野や稲本潤一、高原直泰など、黄金世代の僚友たちが海外で研鑽を積み、アントラーズのチームメイトである中田がマルセイユに旅立ち、小笠原も1シーズンだけセリエAでプレーした。はたして本山に、欧州挑戦への渇望はなかったのか。
 
「うーん、あんまり話したことはないですけど、あと少しってのはありましたね。話は来てたけど正式なオファーには至らなかったというか。ちょうど2007年くらいで、28歳くらい。いま行かないとなって想いはありましたけど、どうかな、最終的にはオファーをもらってても行かなかったんじゃないですかね。ちょうどアントラーズがまた勝ち始めてて、上向いてる感じだった。いま抜けるわけにはいかない、なんとかタイトルを獲りたいって時期でしたから。いまとなってはすべてが“たら・れば”です」
 
 昔から「スペイン・サッカーが好きでよく観ている」と話していた。だが、ずっと憧れていたのは意外や意外、元イタリア代表の名ボランチだ。
 
「中学とか高校の頃って、家で観れたのがセリエAくらいで、すごい人気だったじゃないですか。それで好きになったのが(デメトリオ)アルベルティーニ。中学校の頃から大のお気に入りで、なんていうか、すべてを把握してる感じ、利いてる感じが抜群に良かった。ヒガシ(東福岡)でボランチやった時とか、実は嬉しかったりしたんですよね。あれ、アルベルティーニと同じじゃんって(笑)」
 
 栄光に彩られたアントラーズでの日々。その中で、もっとも苦難に満ちていたのは2008年シーズンだったのではないだろうか。
 
 本山は6月に水腎症という病を発症した。尿路の通過障害によって腎で作られた尿が停滞し、腎臓が内側から腫れた状態になる。本山は「かなりキツかったし、プレーへの影響も計り知れないくらいあった。腹痛というか腰痛というか、熱も出るし。飲み物を飲むと溜まってしまうから、コントロールしなければいけない。手術したら1か月は安静になると言われた。チームに迷惑は掛けられないと思いましたね」と笑うが、ともすれば選手生命に関わる危機だった。

 彼は慢性的な痛みと体調の変化に苦しみながらも、ごく限られたチームスタッフにしかその事実を伝えず、主軸としてシーズンを戦い抜いた。「痛かったけどできちゃったんです。そんなもんですよ」と振り返る。J1リーグ連覇を決めた翌日、ようやく手術を受けたという。
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