海外の選手は、判定に対するリスペクトを表現してくれることが多い。
岩政 西村さんは海外の大会でも笛を吹いていますが、ピッチ内での振る舞いに日本との違いは感じますか?
西村 海外の選手は、判定に対するリスペクトを表現してくれることが多いかもしれません。「このプレー(ファウル)取ってよ」とアピールするけど、次のプレーで声をかけると「全然問題ないよ」と言ってくれたりします。
これは文化の違いかもしれないですね。ファウルはするなと教わったのか、それともファウルは時間帯と場所を考えろと言われているか。そこで話は違ってきます。海外の選手は、ある場面では取られても「仕方ない」と思っている。
岩政 確かに。日本では、選手もファウルがダメだと思っているから、レフェリーに反発してしまう。サポーターの見方も同じかもしれないですね。海外では"良い"ファウルにブーイングは起こりませんよね。
西村 そうなんです。ゲームの流れを理解したファウルには、ブーイングはありません。選手もサポーターも、ファウルの意味を分かっているのだと思います。私たちレフェリーの語源は「refer=ゆだねる、任せる」です。必死に戦っている選手たちでは判断できないので、第三者に判定を任せる。それがレフェリーであり、その判定をリスペクトしています。
岩政 海外の選手と日本の選手ではスピードが違うと言われますが、具体的には何が違います?
西村 一番違うのはパススピードです。一瞬で次の選手にボールがわたります。それをトラップして次のプレーに移るまでの判断も速い。その上、純粋にフィジカルの速さもあります。
岩政 人もボールもパンパン動いている感じですか。
西村 ワールドカップでは、1秒ごとに駆け引きがありました。FWは裏を取ろうとして相手の動きを探っていたり、MFがパスを出させないようにわざとプレスをかけたり。そこら中で駆け引きしていたので、レフェリーも頭が休まる時間がありませんでした。
<<#3に続く>>
【プロフィール】
西村雄一(にしむら・ゆういち)/1972年4月17日、東京都出身。1999年に一級審判員として登録され、2004年からスペシャルレフェリー(現・プロフェッショナルレフェリー)に。2010年の南アフリカ・ワールドカップ決勝の第4審判、2014年のブラジル・ワールドカップでは、開幕戦で主審を務めた。2014年まで国際審判員として活躍し、現在はJリーグで笛を吹いている。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。
西村 海外の選手は、判定に対するリスペクトを表現してくれることが多いかもしれません。「このプレー(ファウル)取ってよ」とアピールするけど、次のプレーで声をかけると「全然問題ないよ」と言ってくれたりします。
これは文化の違いかもしれないですね。ファウルはするなと教わったのか、それともファウルは時間帯と場所を考えろと言われているか。そこで話は違ってきます。海外の選手は、ある場面では取られても「仕方ない」と思っている。
岩政 確かに。日本では、選手もファウルがダメだと思っているから、レフェリーに反発してしまう。サポーターの見方も同じかもしれないですね。海外では"良い"ファウルにブーイングは起こりませんよね。
西村 そうなんです。ゲームの流れを理解したファウルには、ブーイングはありません。選手もサポーターも、ファウルの意味を分かっているのだと思います。私たちレフェリーの語源は「refer=ゆだねる、任せる」です。必死に戦っている選手たちでは判断できないので、第三者に判定を任せる。それがレフェリーであり、その判定をリスペクトしています。
岩政 海外の選手と日本の選手ではスピードが違うと言われますが、具体的には何が違います?
西村 一番違うのはパススピードです。一瞬で次の選手にボールがわたります。それをトラップして次のプレーに移るまでの判断も速い。その上、純粋にフィジカルの速さもあります。
岩政 人もボールもパンパン動いている感じですか。
西村 ワールドカップでは、1秒ごとに駆け引きがありました。FWは裏を取ろうとして相手の動きを探っていたり、MFがパスを出させないようにわざとプレスをかけたり。そこら中で駆け引きしていたので、レフェリーも頭が休まる時間がありませんでした。
<<#3に続く>>
【プロフィール】
西村雄一(にしむら・ゆういち)/1972年4月17日、東京都出身。1999年に一級審判員として登録され、2004年からスペシャルレフェリー(現・プロフェッショナルレフェリー)に。2010年の南アフリカ・ワールドカップ決勝の第4審判、2014年のブラジル・ワールドカップでは、開幕戦で主審を務めた。2014年まで国際審判員として活躍し、現在はJリーグで笛を吹いている。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。