大不振の広島が待望する「95%の男」。森﨑和が4度目の持病再発から完全復活へ好感触

カテゴリ:Jリーグ

中野和也

2017年04月27日

今季初めて参加した紅白戦では、深くて強いタックルで茶島を吹き飛ばした。

24日には今年初めての紅白戦に参加した森﨑和。公式戦のピッチに戻ってくるのはいつだろうか。写真:中野香代(紫熊倶楽部)

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 慢性疲労症候群という森崎和幸につきまとう持病が再発したのは、今年1月のタイキャンプでのこと。「普通の生活を送れることが奇跡」(森保監督)という彼の症状については、ここでは言及を避けたい。
 
 彼がこの病のために練習場にすら来られなくなったのはこれで4度目だが、細かな症状は常に隣り合わせにいたという。そこを家族やチームの支えもあり、自身の工夫の積み重ねもあって、なんとか乗りきってきた。だが、今度はもう、耐えるのは難しかった。キャンプを離脱して帰国、そのまま「95%の男」は姿を見せなくなった。
 
 果たして、ピッチに戻って来られるのか。過去の3度はまだ20代。年齢を重ね、体力も衰えている森崎和が、この試練を乗り越えるのか。
 
 4月6日、約2か月ぶりに彼はチームメイトと共にトレーニングを行なった。4月24日、今季初めて紅白戦に参加し、得意の深くて強いタックルで茶島雄介をふき飛ばした。
 
「カズさんのタックルは逃げられない。いつもどおりです」と“削られた”茶島は苦笑。森保監督も「あのタックルや周りの良さを引き出す動きなどは、彼が培ってきたもの。改めて思いました。いい選手だな、と」。体力面にはまだ不安があることは否めないが、さすがのクオリティを見せた。「技術は衰えない」。ペトロヴィッチ前監督の言葉どおりである。
 
「まだ、自分のイメージと身体が一致しないけれど、それは当然のことだから」
 
 穏やかに森崎和幸は言う。
「でも、昨年はなかなか掴めなかった感覚のところは良かった。昨年よりもいい感触を得た。一歩、半歩、前に進めたという感触です」
 
 36歳の森崎和幸にいつまでも頼りっきりになるわけには、いかない。彼が戻ってくればすべてが解決するわけでもない。だが、預け所を見失って視線が泳いでしまった現状の広島を見るにつけ、ついピッチにいない8番に想いを馳せてしまう。
 
 ただ、復帰を焦らせたくはない。「一歩一歩、です」と8番は言う。その言葉は自身の復帰への道のりであり、クラブの未来を築くための方策であり、苦境が続くチームへの道標のように思う。
 
取材・文:中野和也(紫熊倶楽部)
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