【横浜】マリノスタウン移転の真相|「6億円」からの解放と日本一の環境を失うリスク

カテゴリ:Jリーグ

藤井雅彦

2015年06月02日

14年度は600万円の黒字も、「薄氷を踏む決算」(嘉悦社長)

移転先となる新横浜公園内施設について、嘉悦社長はマリノスタウンと「まったく同じは難しいが、ほぼ維持できることを前提に検討してきた」と語る。写真:田中研治

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 しかし、一方でクラブの収益構造の限界を示したとも言える。嘉悦社長は厳しい口調でこう振り返る。
 
「チーム成績を含むあらゆる条件が整えば、赤字を回避するポテンシャルがあることを検証できた。その一方で、例えばチーム成績が少しでも低迷する、あるいはリーマンショックのような大不況によってスポンサー企業が撤退するといった不測の事態が起きた場合は、かなりの確率でクラブは赤字に転落する。つまり、構造的には依然として赤字体質ということです」
 
 14年度はACL出場などの期待値によってスポンサー収入が前年比で34.7%増となり、商品販売も好調を維持した結果、600万円の黒字となった。しかし、嘉悦社長は「薄氷を踏む決算」と表情を曇らせる。親会社に依存しない自立した経営を目指すのならば、マリノスタウンからの移転はもはや避けられない状況だった。
 
 もちろん移転ありきでの検討課題ではなかったが、定期借地契約延長には現在よりも高いコストがかかるという。横浜市はみなとみらい地区の土地の売却を進めており、その対象はマリノスタウンのある61街区も例外ではない。土地買い取りか、賃料アップか。クラブとしては八方塞がりの状態だった。
 
 移転先には06年までクラブハウスとして利用していた戸塚トレーニングセンター(東戸塚)も候補地に挙がったという。しかし、アクセスの悪さとアカデミーの練習場を確保しにくいことを理由に候補から外れた。マリノスタウンほどではないが、コストが高いことも積極的になれない理由のひとつだったようだ。
 
 そこで新たに浮上したのが、ホームタウンの一角を担う港北区にある新横浜公園内施設だ。メインとなる練習場は日産フィールド小机で、回数に限りはあるが日産スタジアムでの練習も可能になる。日産スタジアム内にはレストラン機能やプール設備も整っており、嘉悦社長は「今ある設備、部屋のスペースとまったく同じは難しいが、ほぼ維持できることを前提に検討してきた」と手応えをのぞかせる。
 
 マリノスタウンのように事務所機能を兼備することはできないが、徒歩圏内の場所にオフィスを構えるという着地点を見出した。
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