負傷で離脱していた関川がインターハイ予選から復帰したが「相手に当たられて足は動かないし、頭も働かないし、声も出ない。悪循環でした」と話したとおり、精彩を欠いていた。
 
　相手の２点目は、バックパスの処理に手間取った関川のボールロストがきっかけだった。チームは、明らかに困惑していた。主力がチームを勝たせられない。周りもチームを助けられない。もどかしさに捕われた敗戦だった。
 
　ただ、不甲斐ない敗北は、別の選手に火をつけた。敗戦の後、試合に出ていなかった３年生が言い出したという。
 
「気を遣わなくていい。見ていて、どう思ったのか。言うべきだ」
 
　試合に出たくても出られず、仲間に託していた選手たちは黙ってはいなかった。３年生でミーティングを行なうと、厳しい指摘が続いた。
 
　身体能力を生かして、どのポジションでもパワフルにこなすMF佐藤輝は「試合で気持ちが見えないって言われたのが、一番残っている。試合に出ていない選手の分までやるってことを考えられていなかったし、自分たちは甘かった。申し訳ない気持ちでした」と控え目に話した。
 
　関川も「お前のせいで負けたとも言われたし、俺にもっとやってほしかったとも言われた。正直、今まで、そんなことを言われることはなかった。でも、言われたほうが良かった」と仲間の言葉に強い衝撃を受けたことを明かした。
 
　それでも、なかなか気持ちは切り替わらないのが現状だ。全国大会を逃して面白くない気持ちも出てくる。
 
　ミーティングを終えて、プレミアリーグの再開に備える1週間のなかで、副主将を務めるGK猪瀬康太が関川を叱責することもあったという。猪瀬は「郁万とか熊澤とか、中心選手がイライラせずにチームをまとめてほしいという声があったのに、違うなという態度に見えた。今まで誰も言えなかったし、自分が言うしかないと思った。みんなに言われたことを分かっていないようにしか見えない、と強く言いました」と明かした。