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【現地レポート】 ポーランドのテストマッチ快勝劇から見えた、日本が警戒すべき点と突くべき守備の“悪癖”

カテゴリ:国際大会

中野吉之伴

2018年06月13日

相手守備陣を“騙す”ような動きが必要

グリクの在不在による違いは大きいが、ポーランドの守備に穴があることに変わりはない。日本は、ここを的確に突いていけるか!? (C) Getty Images

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 SBが外に簡単に引きずり出されると、一気にピンチになってしまう。サイドハーフの選手がどこまで、守備陣の負担を軽減できるのか。そして、センターで相手選手を見失わずに冷静な対処ができるか。このあたりが、日本にとっては重要なポイントになりそうだ。
 
 また、ビルドアップからのパスがどんどん縦に出てくるところも気をつけなければならない。ポーランドは、常にひとつ前の選手を探しているし、探されるために動いている。
 
 ボールの近くでマークしても、その後ろへのパスコースを消せないと簡単に通され、一気にボールを運ばれてしまう。パスを通させないためのポジショニングとコースケア、そして通された後の対処法まで、詳細に詰めておかなければならない。
 
 一方、ポーランドの守備はどうだっただろうか。リトアニア戦では、ほとんど危ないシーンはなかったが、それでも下がりながらの守備の時には、選手間の距離が曖昧になってしまうことがある。
 
 特に、CBがボールに食いつきすぎてしまい、裏スペースに抜け出す選手についていけないという場面が散見。この試合でも3分、相手FWのセマスにフリーで抜け出され、胸トラップからの右足ボレーを許してしまった。オフサイドになったものの、このあたりの受け渡しでのズレは、他の試合でも見られていた。
 
 そのため、日本としてはFWがうまく潰れ役となり、連動して裏スペースを狙うことが求められる。あるいは、パスが来ないかも、というくらいの素早いタイミングでスペースに抜け出し、出し手がそこに合わせてというのも大切だ。
 
 全てのパスを通す必要があるわけではない。相手が反応できないタイミングとスピードで、危険なエリアを狙う――そうした怖さのある攻撃が欲しいところだ。
 
 グリクがいれば、カバーリングを高いレベルでこなすことができるが、彼がいないと……というのが、ポーランドの悩みである。彼は早ければ、グループステージ3戦目(日本戦)から復帰可能だというが、それまでどのような組み合わせでいくのか、そして復帰後のパートナーは誰になるのか? 監督の決断に注目が集まる。
 
 また、個人で気をつけなければならないのが、クリホビアクだろう。ゲームをオーガナイズする彼の存在は、ポーランドにとって欠かせない。長短精度の高いパスを使い分け、リズムを作り出す。緩いパスをうまく使い、相手を引き付けるプレーも得意だ。
 
 リトアニア戦では、62分に素晴らしいプレーがあった。ビルドアップで相手がプレスに来るところをワンツーパスで外し、リターンパスを受けてボールをスペースに運び、ワンタッチでそのまま相手を置き去りにして、ひとりでペナルティーエリア付近まで持ち込んでスルーパスを通した。
 
 クリホビアクを自由にプレーさせると、ポーランドの攻撃はどんどん勢いを増すだけに、彼へのパスコースを消すことが非常に重要だ。
 
 ポーランドは、レバンドフスキだけのチームではない。そして、改めて言うことではないが、間違いなく強い。
 
現地取材・文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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