魂を揺さぶる言葉がそこにある…名伯楽、小嶺忠敏のイズムと真髄(前編)

カテゴリ:ワールド

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年12月24日

若い指導者が僕のようにやっても失敗するよ

国見時代は選手権を6度制覇。平山(中央)など数多のJリーガーを育て上げた。(C)SOCCER DIGEST

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 U-20日本代表の安藤瑞季とともに攻撃の中軸を担う、荒木駿太も「僕はメンタル面でムラッ気があったんですけど、先生に上手くコントロールしてもらって、結果を残せるようになった。感謝しかないです」と爽やかな笑顔を見せる。
 
 対話した3年生たちは、話していて本当に活き活きしていて、気持ちのいい連中ばかりだ。1年生の頃は鼻っ柱が強くて生意気だった選手が、3年生になり、選手権も間近になる時期にはすっかり大人になり、受け答えに奥行きさえ出てくる。国見の選手たちから受けた印象とまったく同じである。同じ人物が指導しているのだから、それも当然か。
 
 それでも小嶺監督は、試行錯誤を続けてきたと、胸の内を明かす。
 
「若い頃は身体も動いたしイケイケで、それこそ選手たちに体当たりで接していたけど、そこは自分の経験もあるし、時代に合わせていかないといかん。ずっと長い間、妥協をせずに徹底してチャレンジしてやってきたから、その積み重ねがいまに活きてる。経験が助けてくれてますよ。選手たちの扱い方、ポジションをどう決めて、試合のコンディションをどう持っていくのかなど、いまの時代に応じてやってます。昔はコンディションもなにもなかったからね。子どもたちはモノの豊かな時代で甘えて育ってきているから、いっぺんにやったら壊れてしまう。3年間で、ある程度強い人間を作る。人間教育だけはピシっとやる。だいたいは3年間で修正できますよ。サッカーをする、社会に出ていける人格を形成させる。きちっとできる。そこは変わらず大事にしてます」
 
 2時間の練習で、怒鳴りつける場面には一度も遭遇しなかった。むしろジェスチャーやギャグで笑いを取るなど、アメを多めに使っているように感じた。このあたりのサジ加減が絶妙なのだろう。「若い指導者が僕のようにやっても失敗するよ。長い経験があってのことだから。要領のいい子はたくさんいるから、経験がないと騙されてしまうんだ」と呟く。
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