ベテランの思いにニューフェイスが応えれば。
オーストラリア戦のポイントを聞かれた宮間は、すかさず「無失点に抑えること」と答えた。その表情は厳しい。どうやら敵は、摂氏35度にもなる高温多湿の気候でもなく、ふさふさと生い茂ったようなピッチでもなく、いまだ完成形を見ない自分たちの戦い方にあるようだ。
選手たちが口を揃えるのが、オーストラリアのスピードとパワーだ。さらに前回大会を戦ったメンバーが半数近く残り、日本のイメージをしっかりと刻み込んでいる。
なかでも警戒すべきが、リサ・デバンナだ。スピード溢れる突破と決定力を兼備したオーストラリアのエースで、絶大な影響力を誇る。前回大会は、直前の怪我で準決勝の日本戦を欠場したが、車椅子で戦況を見守る彼女のためにと、ピッチに立ったメンバーが奮起。日本を破り、そのまま頂点へと駆け上がった。29歳になったデバンナは、今度はみずからピッチで日本を倒して連覇を果たすと、そう意気込む。
そんなオーストラリアにも懸念がないわけではない。開幕まで1か月を切った段階での監督交代は、影響が小さくない。ユース代表を指揮した経験のあるアレン・スタイチッチ監督が、どれだけチームをまとめられているか。
その点では日本と同じような状態であり、互いにヴェールの向こうの姿を探り合う展開になるだろう。「ちょっとしたことが勝敗を分ける」との佐々木監督の言葉どおり、些細な綾が決定的なファクターになりそうだ。
日本がグループAで同居するのは、オーストラリアのほかに開催国ベトナムとヨルダン。ともに格下であり、上位2チームに与えられる本大会の出場権の獲得はほぼ間違いない。オーストラリアとの初戦に勝利すれば、続くベトナム戦であっさり決まるだろう。グループリーグでのテーマは、チームの完成度を高めることになる。目標はあくまで優勝なのだから。
「チャンスが来たら本当に伸び伸びとプレーしてもらいたい」(澤穂希)というベテランの思いにニューフェイスたちが応えることができれば、チーム力はおのずと高まるだろう。
悲願の初優勝とともに、なでしこジャパンはこの大会で貴重なプラスアルファを手に入れ、進化を遂げられるか。注目したい。
取材・文:早草紀子
選手たちが口を揃えるのが、オーストラリアのスピードとパワーだ。さらに前回大会を戦ったメンバーが半数近く残り、日本のイメージをしっかりと刻み込んでいる。
なかでも警戒すべきが、リサ・デバンナだ。スピード溢れる突破と決定力を兼備したオーストラリアのエースで、絶大な影響力を誇る。前回大会は、直前の怪我で準決勝の日本戦を欠場したが、車椅子で戦況を見守る彼女のためにと、ピッチに立ったメンバーが奮起。日本を破り、そのまま頂点へと駆け上がった。29歳になったデバンナは、今度はみずからピッチで日本を倒して連覇を果たすと、そう意気込む。
そんなオーストラリアにも懸念がないわけではない。開幕まで1か月を切った段階での監督交代は、影響が小さくない。ユース代表を指揮した経験のあるアレン・スタイチッチ監督が、どれだけチームをまとめられているか。
その点では日本と同じような状態であり、互いにヴェールの向こうの姿を探り合う展開になるだろう。「ちょっとしたことが勝敗を分ける」との佐々木監督の言葉どおり、些細な綾が決定的なファクターになりそうだ。
日本がグループAで同居するのは、オーストラリアのほかに開催国ベトナムとヨルダン。ともに格下であり、上位2チームに与えられる本大会の出場権の獲得はほぼ間違いない。オーストラリアとの初戦に勝利すれば、続くベトナム戦であっさり決まるだろう。グループリーグでのテーマは、チームの完成度を高めることになる。目標はあくまで優勝なのだから。
「チャンスが来たら本当に伸び伸びとプレーしてもらいたい」(澤穂希)というベテランの思いにニューフェイスたちが応えることができれば、チーム力はおのずと高まるだろう。
悲願の初優勝とともに、なでしこジャパンはこの大会で貴重なプラスアルファを手に入れ、進化を遂げられるか。注目したい。
取材・文:早草紀子