なでしこジャパン 悲願の初優勝なるか!? アジアカップ展望

カテゴリ:日本代表

早草紀子

2014年05月13日

ベテランの思いにニューフェイスが応えれば。

初戦の相手は強敵オーストラリア。突破力と決定力を備えたこのデバンナには警戒が必要だ。 (C) Getty Images

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 オーストラリア戦のポイントを聞かれた宮間は、すかさず「無失点に抑えること」と答えた。その表情は厳しい。どうやら敵は、摂氏35度にもなる高温多湿の気候でもなく、ふさふさと生い茂ったようなピッチでもなく、いまだ完成形を見ない自分たちの戦い方にあるようだ。
 
 選手たちが口を揃えるのが、オーストラリアのスピードとパワーだ。さらに前回大会を戦ったメンバーが半数近く残り、日本のイメージをしっかりと刻み込んでいる。
 
 なかでも警戒すべきが、リサ・デバンナだ。スピード溢れる突破と決定力を兼備したオーストラリアのエースで、絶大な影響力を誇る。前回大会は、直前の怪我で準決勝の日本戦を欠場したが、車椅子で戦況を見守る彼女のためにと、ピッチに立ったメンバーが奮起。日本を破り、そのまま頂点へと駆け上がった。29歳になったデバンナは、今度はみずからピッチで日本を倒して連覇を果たすと、そう意気込む。
 
 そんなオーストラリアにも懸念がないわけではない。開幕まで1か月を切った段階での監督交代は、影響が小さくない。ユース代表を指揮した経験のあるアレン・スタイチッチ監督が、どれだけチームをまとめられているか。
 
 その点では日本と同じような状態であり、互いにヴェールの向こうの姿を探り合う展開になるだろう。「ちょっとしたことが勝敗を分ける」との佐々木監督の言葉どおり、些細な綾が決定的なファクターになりそうだ。
 
 日本がグループAで同居するのは、オーストラリアのほかに開催国ベトナムとヨルダン。ともに格下であり、上位2チームに与えられる本大会の出場権の獲得はほぼ間違いない。オーストラリアとの初戦に勝利すれば、続くベトナム戦であっさり決まるだろう。グループリーグでのテーマは、チームの完成度を高めることになる。目標はあくまで優勝なのだから。
 
「チャンスが来たら本当に伸び伸びとプレーしてもらいたい」(澤穂希)というベテランの思いにニューフェイスたちが応えることができれば、チーム力はおのずと高まるだろう。
 
 悲願の初優勝とともに、なでしこジャパンはこの大会で貴重なプラスアルファを手に入れ、進化を遂げられるか。注目したい。
 
取材・文:早草紀子
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