元日本代表・加地亮はなぜ引退を決断したのか? 伝説となった自己管理で理想を求めた20年

カテゴリ:Jリーグ

高村美砂

2017年11月27日

徹底した自己管理で入念な準備を欠かさない。今シーズンは4時間前入りに…。

「自分が思い描くプレー」を求めて徹底した自己管理を貫いた。それはクラブの伝説ともなった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 加地の徹底した自己管理はサッカー界でも有名な話だ。練習前には誰よりも早くクラブハウスに到着し、湯船に浸かって身体を温めることから始まって、念入りに練習に向けた準備を行なう。ガンバ大阪で過ごした8年半では、加地より早くクラブハウスに到着した選手はいないという伝説を持つほどの徹底ぶり。
 
 初めての海外移籍となったチーバスUSA(MLS)時代も、生活習慣の違いからクラブハウスに湯船はなかったため、子供用の大きめのビニールプールを代用して自らお湯を張り、自身のルーティンを崩さずにケアを続けた。岡山でもそれは変わらず……いや、クラブハウスへの到着時間はG大阪時代の2時間半前を大きく上回り、「今シーズンは4時間前になっていた」と笑う。練習後もパーソナルトレーナーとともに足りない部分を補うトレーニングを行うなど、まさにサッカーに全身全霊を捧げた日々だった。しかもそれを長いキャリアにおいてほぼ毎日、欠かさずに、だ。それらすべてを力に変えて『自分の思い描くプレー』を表現してきたからこそ、それを1年間やり通す自信がないのならスパイクを脱ごうと決めた。
 
 ただ、そうしてやりきったサッカー人生だからこそ「現役への未練も悔いも、まったくない」と言い切る。しかも、その事実を幸せに感じているそうだ。
 
「すべてにおいてやり尽くしたから引退という決断ができる。もし何かやり残したと感じたことがあるなら悔いも残ると思うんですが、まったく悔いのない20年でした。ただ、この生活がなくなっちゃうのはなんか変な感じです。言葉で表現すると悲しいとも違うし、寂しいでもない。幸せな終わり方ができたなって思います」
 
 今後の活動についてはまだ定かではないが、いったんは大阪・箕面市で2011年から夫人が経営してきた『CAZI CAFÉ』で飲食業に力を注ぐ。そこでもおそらく、プロサッカー選手時代に得た財産のひとつに挙げた『人とのつながり』を大切に考えながら、この20年と同様に新たな人生を全力で楽しむことだろう。多くのサッカーファン、チームメイト、サッカー関係者、仲間を魅了した、人間味溢れる愛すべきキャラクターを携えて。
 
取材・文●高村美砂(フリーライター)
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