【日本代表】危険極まりないハリルの「ポゼッション軽視」

カテゴリ:日本代表

高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)

2017年10月12日

世界のトップクラスはポゼッションとカウンターを高度に使い分けている。

酒井高はハイチ戦で中盤のパスワークに有機的に絡んでチャンスを演出。しかし、指揮官の求めるサッカーとは「ギャップがある」と語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ハリルホジッチ監督がカウンターを重視しているのは、同格以上の相手が大半のワールドカップ本大会を見据えているからだろう。その方針自体は間違っていない。現状の日本のタレント力や選手の特性を考えれば、妥当な判断と言える。
 
 看過できないのは、ポゼッションを軽視していることだ。9月28日のメンバー発表の際、ハリルホジッチ監督はボール支配率が40パーセントだったパリSGがバイエルンに3-0で圧勝したチャンピオンズ・リーグの一戦を引き合いに出し、日本のメディアに蔓延る「ポゼッション至上主義」に警鐘を鳴らした。
 
 たしかに「ボール支配率」にこだわるのはナンセンスだ。そのデータが勝利を保証するわけではないし、より勝敗に直結する傾向がある「決定力」や「デュエルの勝率」に重きを置くスタンスも理解できる。
 
 ただ、ポゼッションというスタイルそのものを放棄すべきではない。この2試合を通して選手から聞こえてきたのは、指揮官の徹底した速攻スタイルへの戸惑いの声だった。ハイチ戦後、酒井高徳はこうコメントしている。
 
「僕はパスを回すのが好きなタイプ。ただ、それを監督がどう評価するかはわからない。試合後に話があって、そのあたりのギャップを感じた。縦に速い攻撃を目指しているけど、低い位置で守る相手にはどうするのか。裏を狙うにしても、スペースがないとそれは無理。そういう相手に対しての戦い方をもっと突き詰めないといけない」
 
 ワールドカップ本大会でも、相手が引いてくるシチュエーションは十分に考えられる。例えばリードを許した状況で相手が守りを固めた場合、そこをどうこじ開けるのか。酒井高が言うように、縦への攻撃だけで崩すのはやはり限界がある。パスワークで敵を揺さぶって崩すようなアプローチは絶対に必要だ。
 
 ワールドカップ王者のドイツ代表がそうであるように、世界のトップクラスはポゼッションとカウンターを高度に使い分けている。もちろん日本とはタレント力に差があるにせよ、ひとつの戦術だけで勝ちきれるほど、現代サッカーは甘くない。
 
 ハリルホジッチ監督がこのままポゼッションを軽視し、カウンターに傾倒したままなら――。ワールドカップ本大会での苦戦は免れないだろう。
 
取材・文:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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