【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が指南する「巧いボランチの見極め方」

カテゴリ:Jリーグ

橋本英郎

2017年07月19日

山口蛍選手は1対1の状況を作るのが得意。

橋本が「ゾーン1」での名手としたのがC大阪の山口。ボールを狩る技術は一級品だという。写真:川本学

画像を見る

 それでは『ゾーン1』から見ていきましょう。
 
 このゾーンでは相手が点を取りに来るため、守備力が求められます。観客として観て分かりやすいのは、球際のところであったり、1対1でボールを持っている選手と対峙した場合、そのボールを奪えるかどうかのプレーになります。
 
 例として挙げるなら、セレッソ大阪の山口蛍選手のプレーが大変分かりやすいと思います。彼はボールホルダーに対して素早くアプローチをし、1対1の状況を作るのが得意で、相手との距離を上手く詰めることによって、ボールを奪いやすくしています。
 
 このゾーンにおける僕なりの名ボランチの定義はこうです。サイドから上がってくるセンタリングに対して、センターバックがクリアできない場合、そこにしっかり対応できているか。あるいはキーパーが取りにくいミドルシュートのコースや、クロスを上げられたくないゾーンを事前に察知して、未然に防ぐ動きができているか。その意識が高い選手が、良質なボランチだと思っています。
 
 簡単に言えば、センタリングが上がってきた際にセンターバックではなくボランチがクリアしている。サイドバックやウイングバックが交わされたあと、クロスを上げられそうになった時にしっかりボランチがブロックしている。そんな時に僕は、「お、いいプレーだな」と感じます。
 
 加えて、ボール奪取したあと、カウンターアタックに移る切り替えのところで、攻撃の起点として1つ目のパスの選択肢を多く持っている、ゴールに直結できるプレーができれば、なお質の高いボランチだと思います。
 
 次に『ゾーン2』。
 
 よくボランチは「ポジショニングが大事だ」と言われますが、そもそも良いポジショニングとはどういうものなのでしょうか。
 
 名ボランチは、攻撃時にサイドや前線に、効果的にボールを散らします。このプレーが得意なのが、ガンバ大阪の遠藤保仁選手。誰が見ても分かりやすいと思います。守備においてボランチに問われる資質は、前線からのプレスを促し、ディフェンスラインと前線との距離感をコンパクトにまとめられるかどうかです。ともに的確なポジショニングがなければ、実現しません。
 
 試合を観ていて、『ゾーン2』のエリアでボールがよく奪えている時。たとえボランチの選手がボールを奪っていなくてもサイドバックやウイングバック、前線の選手が上手くボールが奪えているなら、それはボランチがしっかり仕事をこなしている証です。ボランチの良い声掛け、良いポジショニングがあればこそなのです。
 
【関連記事】
中村俊輔、遠藤保仁、小野伸二…を超える「最も衝撃を受けた」と鈴木啓太が引退記者会見で明かした“意外”な選手とは?
【G大阪】ガンバ最強助っ人はいったい誰? 遠藤保仁の回答が超意外だった
【黄金世代】第3回・小笠原満男「美しき東北人魂~これが俺の生きる道」(♯6)
【黄金世代】第1回・小野伸二「なぜ私たちはこのファンタジスタに魅了されるのか」(♯1)
【東京V】橋本&二川の名コンビが5年ぶりに復活!「あいかわらずあの落としは流石やなと」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ