【仙台】新助っ人の正体見たり。強さと高さだけではない、クリスランの持つ生真面目さ

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2017年04月21日

試合後のコールが人物像を浮かび上がらせてくれる。

クリスランは昌子、植田といった日本代表に招集されるCBと対峙。完璧ではないコンディションのなかでも「戦える」ことを証明した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 4月16日、J1リーグ7節・鹿島戦。ユアテックスタジアム仙台。90分と少しのアディショナルタイムが経過し、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。同時に、クリスランはその場に座り込み、そして仰向けになってピッチ上に倒れ込んだ。
 
 性も根も尽き果てたか。スタミナは空っぽだったのか。主審に促されると仲間たちとともに整列をし、鹿島の選手たちと握手をしてサポーターのもとへ。足を引きずるような仕草もあった。ゴールネットを揺らしたものの、表情は浮かなかった。
 
 王者の力を示されて大敗した試合に、クリスランの真価を垣間見た気がした。精彩さは足らなかった。だが、1トップに入ったブラジル人は、日本代表にも招集される鹿島の両CB、昌子源と植田直通に見劣りなどしなかったようにも思う。
 
 24分と43分に佐々木との好連係を見せて、鹿島守備陣を脅かした。そして50分には得点を挙げる。左CKから三田啓貴のキックに合わせて、歓喜を呼び込んだ。どれもが能力を存分に発揮したもの。しかし、目を奪われたのは違う場面だったのも事実だ。
 
 ひとつ目は53分、相手がハーフライン近辺からGKへとボールを戻したシーン。全力で追い、諦めずにスライディング。レイトタックルで足に入ったと判定されてイエローカードを提示された。その是非についてどうこう書くつもりはない。ただ、常にゴールを狙っているストライカーとしての本能を感じ取れた気がした。
 
 ふたつ目は59分、自陣のCKのこぼれ球を三田啓貴が拾ってカウンターを発動しようとしたシーン。小笠原満男のファウルによって阻まれる。その後、プレーが止まったのを知らずか、鹿島の選手がボールを大きく蹴った。
 
 誰も取りに行こうとしない。刹那、先頭の石原から数えて6人目の位置にいたクリスランがダッシュ。リスタートを1秒でも早くしようとした。この時点で1-3と、勝つには3点が必要な状況だった。勤勉さと献身性と勝利への執念を見て取れた気がした。
 
「勝利を欲する気持ちが強いと伝わったはず」。試合後に、そう振り返った。伝わらないわけがない。少なくとも、真面目に、一心不乱に戦う姿を目の当たりにした人々には響くものがあった。スタンドから湧き上がった「クリス! クリス!」というコール。それがこの男を雄弁に語っている。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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