1979年9月27日生まれ。37歳になった。年齢とともにサッカー観やプレースタイルに変化はあったのだろうか。
「どうですかね。昔からあまりばんばん動いてボールをもらうタイプではなかったし、いい場所でボールをもらって、さばいてって感覚。そこが自分らしさだし、ずっと変わらない。ただ、リスクを冒すようなパスは少し減ったかな。海外に行ったあとくらいから」
小野自身はなにも変わっていない。一方でサッカーそのものが変わった、難しくなってきたとは感じているようだ。
「例えば攻撃とか、僕はみんなでイメージを共有してゴールに向かっていきたい。そのなかでここはワンタッチ、いやツータッチだとか、アイデアを出し合いながらね。ゴールデンエイジと言われたメンバーでプレーしたときは、みんなが同じ意図を持ってやれてた。ああなるとサッカーってやっぱり楽しい。じゃあいまはそれがあるのかと訊かれたら、また違うかなと。
技術は上がってるけど、頭を使うってところで、違う方向に行ってるような気がしなくもない。でも、そこは僕が上手く合わせていかなきゃいけない。チームのなかで試合に出るために、なにをするべきかが大事なわけだから」
今季の札幌は、5年ぶりにJ1の舞台で戦っている。
小野は昨季終盤から長期離脱を余儀なくされていたが、4月2日のヴァンフォーレ甲府戦で久々に実戦復帰を果たした。終盤の81分から途中出場。チームは0-2で敗れたものの、彼自身はコンディションの良さを窺わせた。復帰までおよそ100日。あえてリハビリに長い時間をかけたのだという。
「ずっとグロイン(股関節の付け根)のところ。去年とかも痛みがあったりなかったりの繰り返しだったんですけど、今回は痛みがない状態になるまで我慢して治そうと。本当に痛みがなくなんのかなって思いながらも、結果的に劇的に良くなったんでね。びっくりですよ。ここにきて違和感もリバウンドもない。早く思い切りサッカーがしたいね」
札幌での暮らしは4年目を迎えた。北海道の風土にもすっかり慣れ、温かい人びとに囲まれて「気持ちよく生活させてもらってる」と満足気だ。
そしてピッチを離れれば、子煩悩なパパの一面を見せる。さりげなく、家族と妻への感謝を口にする。
「奥さんとはちょうどオランダに行くときに結婚したんです。環境も文化も言葉も分からないなかでよく付いてきてくれたし、支えになってくれましたね。そんななかで子どもができて、最近だと上の子はフラダンスを、下の子はミュージカルをやってるんですよ。それがけっこう刺激になってますね。
ふたりとも充実してやってるから、ライバルじゃないけど、こっちだって負けられないって気になる。逆にパパがサッカーでいいところを見せれれば、子どもにはいい刺激になるだろうし。頑張んないとなって思いますもん」