Jリーガーから年商219億円のベンチャー社長に! 元ガンバMFはいかにして成功を掴んだのか

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年03月08日

「やっぱり僕を育ててくれた古巣ですから」。

鳴かず飛ばずだった現役時代。絶望の淵に立たされたその経験が、大きな糧となって嵜本を支えた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

 地元・大阪で父親が営んでいた小さなリサイクルショップが、スタート地点だ。家業を手伝いながらふたりの兄(嵜本は3人兄弟の末弟)と会社を立ち上げ、中古ブランド品の買取・販売などの事業をはじめる。

 2008年からは新事業としてパティスリーブラザーズの名で洋菓子業をスタートさせた。そして2011年には、焼きたてチーズタルト専門店が爆発的にヒット。のちにガンバのスポンサーとなる「PABLO(パブロ)」の出店に至るのだが、三男の晋輔はここで独立に踏み切った。同年、もともとの生業であった中古ブランド品の買取・販売を手掛ける現在の会社を設立したのである。

 次から次へと斬新な企画とアイデアを打ち出し、それまでどこか陰鬱なイメージのあった“質屋”や“リユースショップ”をファッショナブルに一変させた。鑑定士をコンシェルジュと称し、「お客様とモノを結ぶストーリーがあると思うんです。モノの価値や想いをつなぐためのスペースにしたいと考えました」と、女性でも入りやすい店舗デザインを追求。「なんぼや」「ブランドコンシェル」というふたつの買取ブランドは、いまや全国で40店舗を展開する一大チェーンとなった。

 若くしてプロフットボーラーとしての道を閉ざされ、路頭に迷うJリーガーは少なくない。そんな彼らの未来を、少しでも明るく照らす存在になりたいと話す。

「僕はプロとしてモノにならなかったけど、こうしてセカンドキャリアで結果を出すことができた。僕と同じような境遇の選手ってたくさんいると思うんです。若いうちから引退後のことを考えるのって難しいやろうけど、少し意識するだけでぜんぜん違ってくるはずです。そういう選手たちにやればできるんやということを、僕なりに見せていければなと思ってます」

 今シーズンから、ガンバのトレーニングウェアに企業ロゴを出稿している。少し照れながら、「恩返しじゃないですけど、やっぱり僕を育ててくれた古巣ですから。いつまでも応援したい気持ちに変わりはないです」と頬を緩めた。

 夢は膨らむ。海外進出、そして株式の公開も視野に入れている。

「元Jリーガーってだけじゃなく、元プロスポーツの選手が上場企業の社長になるのって、数少ないと思うんです。夢がありますよね。いまはそこも目標に、頑張っていきたいです」

 昔と変わらない柔和な表情のなかにチラリと、ベンチャー社長の気概と自負をのぞかせた。

取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
【関連記事】
目下ブレイク中の新助っ人バブンスキー。“東欧の貴公子”と謳われた父ボバンはどんなJリーガーだった?
セクシー女優がナポリの選手とファンに「仰天公約」
【U-20代表】飛び級招集の久保建英がW杯メンバー入りへ言及。「15年間で変えられなかったものを1か月弱で変えるのは無理だけど…」
【セルジオ越後】“キング”たる所以を証明し続けるカズ。その称号を受け継ぐ若手が見当たらないのは寂しいね
【SD調査隊】“浪速の黒豹”エムボマはいま~息子の「ケンジ」はパリSGの下部組織に在籍

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ