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【京都】闘莉王を加えながらも不穏な船出…「特長潰し」が王道のJ2でつなぐスタイルは成就するのか

カテゴリ:Jリーグ

雨堤俊祐

2017年03月02日

闘莉王が痛感。「J2は作っていくよりも、潰していくことがメインになることを改めて感じた」

パサー不在では、ラインブレイクが得意な大黒は生きない。写真:川本 学

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 ただ、結果的にこの起用は裏目に出た。ハ・ソンミンは復帰したばかりでチームメイトとの連係が確立されておらず、時折相手と対峙した際にボールを取れても、組織として連動した守備を見せることができない。吉野が積極的にプレッシングに行っても、それに追随して奪いに行く、もしくはバイタルエリアを埋めるといった関係性がまだ確立されていないのだ。
 
 復帰直後でコンディションが100パーセントでないことも感じさせた。また、ボールを持った際につなぐことはできるが、攻撃のスイッチを入れるようなパスを狙う場面は少ない。この点だけを見るならば望月や、交代でボランチに入って積極的に縦パスを入れた仙頭啓矢のほうがフィットするのかもしれない。
 
 最前線では、大黒が相手の背後を突く動き出しを繰り返していたが、パスの出し手と狙いやタイミングが合う場面は数えるほどだった。少ないチャンスを決定機からゴールへと昇華させるのが彼のストライカーたる所以なのだが、この日は古巣対戦に燃え、大黒との親交も厚い菅沼駿哉ら山形守備陣にケアされてシュートまで持ち込めない。
 
 前線の動き出しを見逃さずにパスを出せる選手がいれば違ったのかもしれないが、前述したように中盤にパサーは不在。ゴールに背を向けてボールを収めるのは彼の得意とする仕事ではない。
 
 むしろインパクトを残したのは、交代で入ったケヴィン・オリスだ。Kリーグでの実績を持つベルギー人FWは192センチの長身を生かして相手に競り勝ち、後方からのロングボールを味方につなげるなど前線の起点となっていた。岩崎のクロスを合わせた頭によるゴールも含めて、短時間ながらしっかりと仕事をこなしてみせた。
 
 この日のパフォーマンスから、単純に『大黒よりオリスがいい』というわけではない。サッカーはチームスポーツだ。大黒を起用するなら、最前線での動き出しを生かせるパスの供給役が必要となる。そのタイプが不在ならば、オリスのように前線で起点を作れるタイプを置くほうがチームとして機能しやすいのではないか。
 
 選手の組み合わせだけを語るのは机上の空論だし、開幕スタメンの11人でも攻撃で主導権を握ることを突き詰めて実行できればチャンスは作り出せるだろう。ただ、それが発展途上な現状では、選手起用がより重要となってくるのも確かだ。課題の出た最終ラインも含めて指揮官がどういった対応を見せるのか、次節以降に注目が集まる。
 
 闘莉王は試合後、「J2は作っていくよりも、潰していくことがメインになることを改めて感じた」と話した。相手の特長を消しにくるチームがしのぎを削るJ2で、パスをつなぎながら相手を崩すスタイルで勝ち抜いていくのは簡単ではないが、たった1試合でそれを捨てる必要もない。J1でも通用するチームを作り上げるという船旅は始まったばかりだ。

取材・文:雨堤俊祐(サッカーライター)
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