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「戦力外」から這い上がった矢先に大怪我…。それでもバルサの苦労人は笑顔と気迫を失わない

カテゴリ:メガクラブ

工藤拓

2017年02月17日

失望の大きさは我々の想像を遥かに上回るものだろう。

2015年夏には半年間出場できないのを承知で移籍。カタルーニャ出身だけにバルサ愛は深い。写真:Rafa HUERTA

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 この試合を皮切りに、アレイシは以降の8試合中5試合の公式戦に出場し、1ゴール・3アシストを記録。L・エンリケもその攻撃力を生かすべく、アレイシを4−4−2の中盤右サイドに起用するオプションを活用するようにもなった。
 
 バルサ移籍から1年半。クラブの補強禁止処分により未登録で過ごした最初の半年、そしてベンチ入りもままならなかった1年間を経て、アレイシはようやく戦力としてチームに貢献できようになったのだ。
 
 そんな矢先に生じた全治5か月の重傷がもたらした失望の大きさは、きっと我々の想像を遥かに上回るものだろう。
 
 遠征先の病院で緊急手術を受けたアレイシは、その翌日に痛々しい松葉杖姿で、しかしいつもの明るい笑顔はそのままにバルセロナへと戻ってきた。
 
「自分が何者か、どこへ向かい、何を望んでいるのかよく分かっている。望むものを手にするために生涯戦う必要があるのであれば、ずっと戦い続けてやる」
 
 大怪我から2日後、アレイシは激痛に表情を歪める負傷時の写真を『インスタグラム』に投稿し、激励のコメントを送ったファンや仲間への感謝の言葉とともに復活への決意を綴っていた。
 
 バルサのカンテラをわずか1年で首になり、国内クラブの下部組織を転々とした後に、パントラキコス(ギリシャ)でプロデビュー。ヒムナスティック、マジョルカなどを経て、アルメリアの昇格と共に24歳でリーガ1部デビューに至った遅咲きの苦労人は、エリート集団バルサの一員となった今も雑草のように逞しく、逆境と戦い続けている。
 
 サッカーの神様が与えた理不尽な試練に直面した今回も、きっと持ち前の明るさと負けん気を駆使して乗り越えてみせることだろう。
 
文:工藤拓
 
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体に執筆している。
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