チェルシーの「王者の風格」にジェラードもお手上げ?

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年02月02日

セスクをはじめ控え組の足並みも揃うチェルシーには王者の資質が。

2シーズン前にモウリーニョ政権下でリーグ制覇を成し遂げた時とは異なり、控えに回ることが多いセスク。しかし、不満をこぼすことはなく、ピッチに立てばハイパフォーマンスを見せつけている。 (C) Getty Images

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 だが、チェルシーの戦いぶりそのものから滲み出る優勝への説得力も無視できない。
 
 奇しくも、リバプールとアーセナルに連敗した昨年9月の前回対決を境に、システムを4-1-4-1から3-4-3に変更し、速攻を武器とする集団に生まれ変わったチェルシー。全員が与えられた役割を心得ているチームは、巧みな試合運びが堂に入ってきている。
 
 今回のリバプール戦でもボールポゼッションでは6割強を相手に譲っていたが、試合の主導権までは握らせなかった。
 
 両チームの実力差が小さい試合では通常、敵のホームで後半に追いつかれれば、一気に劣勢に立たされる展開となっても不思議ではない。相手が、今シーズンのアンフィールドで1敗しかしていないリバプールとなれば尚更だ。しかし、ラスト20分間で追加点を予感させたのは、むしろチェルシーだった。
 
 83分にセスク・ファブレガスを投入したのも、ポゼッション率を上げて残り時間を凌ぎにかかったのではなく、勝ち越し点を奪いにいっていたことは、そのスペイン人MFが投入直後にD・コスタに縦志向の強いロングパスを繋げたことを見れば明らかだ。
 
 そのセスクが控えに回っても腐らず、出番を得れば好プレーを披露していることからも分かる通り、チェルシーには控え組を含めて足並みが揃っている感がライバルたち以上にある。
 
 セスクだけではなく、チーム最古参の主将ジョン・テリーも、「今シーズンはこのまま出番が回ってこない方がいい」と『BTスポーツ』のインタビューで語っている。本心は試合に出たくて仕方がないはずだが、36歳のキャプテンはチームの好調維持を優先して、ベンチ生活を耐える姿勢を前面に打ち出したのだ。
 
 チーム一丸となったチェルシーは、精神的支柱でもあるベテランCBを必要としないままアウェーでの大一番で、アントニオ・コンテ監督が「価値ある1ポイント」と笑顔を見せる結果を残してみせたのである。
 
 よく、「試合内容がパッとしなくても勝てるのが王者の資質」と言われるが、今のチェルシーは、主砲がPKを止められて、上位対決での勝利を逃しても、今シーズンのプレミアリーグ王者となるべき資格があると、英国中に印象づけている。

文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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