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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の九十「プロフェッショナルの監督に必要なもの、不必要なもの」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年09月28日

厳しい環境のなかで1試合という作品に全てを懸ける難儀な仕事。

試合でのみ評価は下る。プロの世界では結果こそ全てであり、「努力賞」に価値はない。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 監督は集団を率いる唯一無二のリーダーであり、気落ちしたような表情を見せてはならない。なぜなら、その波動は選手全員に伝わるからだ。
 
 監督には、勝者としてのメンタリティーを選手たちに移植できるような図太さが必要になるだろう。少なくとも、敗戦の悲しみや苛立ちや悔しさを“だだ漏れ”させるような弱者は、監督をする資格はない。感情を隠せるような“ずるさ”がないと、やり抜けないのだ。
 
 1試合という作品に全てを懸ける――。
 
 アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督は、その挑み方に決意を感じさせる。次の試合は存在しない。目の前のことに全てを出し尽くす。その決死の覚悟を、チーム全体に伝播させるのだ。
 
 日本人では、川崎フロンターレの風間八宏監督も自らの理念に忠実で、断固としたものがある。大久保嘉人や三好康児のように年齢にかかわらず、選手の覚醒の触媒となっている。
 
 自信に溢れたロジックが、覇気を触発するのだろう。アディショナルタイムまで2-0とリードしながら追いつかれ、その後で3-2で勝った9月25日の横浜F・マリノス戦のように、チームとして不安定なところはあるが、作品としての面白味が感じられる。
 
 監督の仕事は簡単ではない。週末のゲームでうまくいかなかったら、1週間の仕事が台無しになった気分になる。しかし自戒しながら、続けるしかない。
 
 そんな厳しい職務に真正面から向き合うからこそ、欧州や南米の監督は「ミスター」という敬称で呼ばれるのである。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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