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【神奈川ダービーの舞台裏】 PKの心理戦――「先に動かず我慢」した村山に、カイケは「右に蹴ろう」と即決した結果…

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2016年05月01日

じっと待ち構えていた村山。左に飛ぶのは「8割方」決めていた。

高山(23番)が決めた虎の子の1点を守り抜き、今季リーグ戦初勝利を飾った湘南。奈良輪(24番)をはじめ、端戸や藤田祥、長谷川など、かつて横浜に所属した選手たちも古巣相手に健闘を見せた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 PKストップの要因のひとつは、カイケのあの“小刻みな助走”にあった。
 
「先に動かずに我慢した。それは大きかったと思う」
 
 カイケの誘いに村山は乗らなかった。微動だにせず、じっと待ち構える。そして相手がシュートモーションに入り、右足を振り上げると同時に、左側(カイケから見て右側)に反応する。すると、村山が伸ばした両手に、カイケの放ったボールは吸い込まれるように飛んできた。カイケが語ったように、まさに“タイミングが合った”ビッグセーブだった。
 
「スタッフとのミーティングの中で、カイケ選手のブラジル時代の映像とかも見たなかで、僕なりに判断した」
 
 周到なスカウティングを基に、左に飛ぶのは「8割方」(村山)決めていたという。
 
「あとは、自分が変な動きをしない限り、たぶんそっち(左)に蹴るだろうな、と」
 
 カイケの置かれている立場も貴重な判断材料になった。この日は先発を外れ、ベンチスタートだったカイケは途中出場し、この大事な場面でキッカーを務めている。当然、「カイケ選手自身、点がすごく欲しいからこそ、俊輔選手に代わって、“俺が蹴る”という強い気持ちでいたはず」と村山は考えた。となれば、「得意なほうに蹴るだろうなと思った」。
 
 日産スタジアムとの相性の良さもあるかもしれない。村山は昨季の松本時代、2月のプレシーズンマッチでは1-0の完封勝利に貢献。さらに、リーグ最終節は0-0のスコアレスドローだったものの、度重なる被決定機を防ぎ、チームを敗戦から救ってみせている。
 
 つまり、村山は日産スタジアムでまだ一度も失点をしていないのだ。相性の良さについて報道陣から聞かれると、「確かに。そうですね」と納得の表情を見せていた。
 
 その日産スタジアムで、湘南はこれまで勝ったことがなかった。対横浜戦に限っては、97年第1ステージ(@三ツ沢/スコア3-2)以来、リーグ戦での勝利はなし。そんな苦手な相手から、今季は低迷にあえぐ湘南は待望の今季初勝利を掴み取ってみせた。
 
 19年越しの歓喜――決勝点を叩きこんだ高山の活躍はもちろん、虎の子の1点を守り切った村山は救世主であり、その貢献度は千金に値するものだろう。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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