【日本代表|エリア別検証】宇佐美はブレーキに!? ボランチ・原口は“諸刃の剣”か

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2016年03月30日

【ミドルサード|あのミドルは“原口サイド”から打たれている】

原口は確かに攻撃面で良い仕事をした。しかし、守備面では突き詰めるべき課題も見えた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 山口は守備面で明らかに効いていた。カウンターを食らいそうになった24分の局面では相手を上手くスピードダウンさせてピンチの芽を摘むなど、地味ながらも重要な仕事をこなしていた。試合の分岐点のひとつが、その山口の負傷退場(鼻骨骨折、および左眼窩底骨折)だった。

 やや守備的だった山口に代わって長谷部とボランチを組んだのは、攻撃色の強い原口だった。ヘルタ・ベルリンではサイドが主戦場の原口にハリルホジッチ監督は真ん中のポジションを任せた(昨年6月のシンガポール戦でもボランチで試した)わけだが、以降の試合はだいぶオープンな展開になった。

 ボールテクニックに優れ、縦への推進力がある原口の投入で攻撃は厚みを増した。彼がミドルゾーンでタメを作ってくれるおかげで、DFもオーバーラップしやすくなり、中央からこじ開けるシーンも前半以上に目立った。実際、ハリルホジッチ監督も、原口の攻撃面での活躍を次のように評している。

「彼が入ってからかなりのことをもたらしてくれました。特にオフェンス面ですね。そして、最後(後半のアディショナルタイム)に(ヘディングで)ゴールまで決めた」

 原口投入以降に、4ゴール。そう捉えれば、彼が攻撃面に与えたメリットは計り知れないかもしれない。ただし──。手放しで原口の活躍を称賛できない部分もある。

 それは言うまでもなく、守備面だ。

 事実、日本がシリアに決定機を与えたのは、山口の負傷退場後だ。62分にポストを叩いたM・アルマワスのミドルは、“原口サイド”から打たれている。それ以降もカウンターを食らったのは、中盤でスペースを与え過ぎていたからに他ならない。

 その原因を長谷部のポジショニングと見るか、原口のセカンドボールへの意識の低さととるかは見解が分かれるところだが、いずれにしても60分過ぎ以降は中盤の守備はかなりルーズだった。

 チームの攻撃力が高まるぶん、守備力が下がる──。原口のボランチ起用は、いわば“諸刃の剣”か。

 結果的に無失点で乗り切ったシリア戦では良いところが目立ち、最後の最後でゴールを決めた点も加味し、原口の個人採点は及第点以上の「6.5」としている。

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 しかし、相手のランクが確実に上がるアジア最終予選で原口の使いどころを仮に間違えれば、チームが混乱する可能性はありそうだ。
 
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