ヴェンゲル体制の弊害はもっと本質的なものに関わってくる。
田邊雅之:長いプレミアのシーズンもようやく終わったわけですが、放談をもうちょっと続けさせてください。2014-15シーズンを戦術面から総括するというのが、今回のお題です。
山中忍:プレミアの担当は損な役回りが多いですよね。こっちは大陸側と違って、冬休みもないじゃないですか(笑)。
田邊:それは僕たちが背負ってしまった業だということで諦めて、本題に入りましょう(笑)。今シーズン、戦術的に気になったチームや注目した試合というと、どのあたりになりますか?
山中:個人的に印象に残っているのは、アーセナルがアウェーでマンチェスター・シティに勝った1月の試合ですね(2-0)。なんといっても、あのヴェンゲルさんがポゼッションを捨てて見事に勝ってみせた。
サッカーの内容云々じゃなくて、ついに結果を出すことを優先し始めたのかなと思って、かなり驚きました。
田邊:アーセナルのボール支配率は、たしか35パーセントくらいでしたよね。僕もあの試合は強烈に覚えています。でもシーズンを通してみると、結局のところ、ヴェンゲルさんはヴェンゲルさんのままだった。
山中:一時期は2位に浮上しましたが、チェルシーとシティには及びませんでしたし。チェルシーの主将であるテリーは、よりストレートに「小手先のサッカーじゃ優勝は無理」とまで言い切っている。
田邊:日本でもアーセナルに関しては、ヴェンゲルさんのサッカー哲学の限界なるものを指摘する記事が、メディアにも何度か掲載されました。
でもちょっとストレートな言い方をすると、その手のヴェンゲル批判は毎シーズンの恒例行事というか。
山中:論点的に目新しいものはあまりないと?
田邊:そう。むしろヴェンゲル体制の弊害というのは、もっと本質的な問題に関わってくる。このテーマについては、いずれどこかの媒体で書くつもりですが、アーセナル以外で戦術論的に気になったチームや監督はあります?
山中:最終節が散々だったんですが、リバプールですかね。もちろんロジャースに関しては、戦術やシステムをころころ変え過ぎたという批判もある。
とはいえチーム事情が酷いにもかかわらず、まがりなりにも6位でシーズンを終えられたのは、要所要所でロジャースが、スパッと方針を切り替えたことに負うところが大きいのかなと。
現に3バックに変更してスターリングを1トップで使った頃は、かなりイケイケになったじゃないですか?
田邊:あの頃の勢いを維持できれば、CL出場枠を確保するのも夢ではなかったかもしれないですね。
山中:「ジェラードさよならツアー」がもっと盛り上がったでしょうし。
田邊:ロジャースに「さよなら説」が出ることもなかった(苦笑)。
ただ僕も山中さんのように、ロジャースに対しては結構、同情的な見方をしていて。今シーズンの彼は「意あって力足らず」の典型だったような気がします。やりたいことはわかるし、然るべき手も打っているんだけど……。
山中:いかんせん、チームが発展途上過ぎる。だから個人的には、ロジャースの解任に反対なんですよ。可能性としては低いと思いますけど、これで監督を代えたりしたら、またゼロからチームを作り直す形になってしまう。
田邊:タブロイドがチームカラーに引っ掛けて「レッドアラート」だとか、「ユー・ウィル・ウォーク・アローン(君は一人でチームを去っていく)」といったような見出しを打つのは目に見えている(笑)。
山中:キャッチフレーズのネタには事欠きませんから(笑)。
山中忍:プレミアの担当は損な役回りが多いですよね。こっちは大陸側と違って、冬休みもないじゃないですか(笑)。
田邊:それは僕たちが背負ってしまった業だということで諦めて、本題に入りましょう(笑)。今シーズン、戦術的に気になったチームや注目した試合というと、どのあたりになりますか?
山中:個人的に印象に残っているのは、アーセナルがアウェーでマンチェスター・シティに勝った1月の試合ですね(2-0)。なんといっても、あのヴェンゲルさんがポゼッションを捨てて見事に勝ってみせた。
サッカーの内容云々じゃなくて、ついに結果を出すことを優先し始めたのかなと思って、かなり驚きました。
田邊:アーセナルのボール支配率は、たしか35パーセントくらいでしたよね。僕もあの試合は強烈に覚えています。でもシーズンを通してみると、結局のところ、ヴェンゲルさんはヴェンゲルさんのままだった。
山中:一時期は2位に浮上しましたが、チェルシーとシティには及びませんでしたし。チェルシーの主将であるテリーは、よりストレートに「小手先のサッカーじゃ優勝は無理」とまで言い切っている。
田邊:日本でもアーセナルに関しては、ヴェンゲルさんのサッカー哲学の限界なるものを指摘する記事が、メディアにも何度か掲載されました。
でもちょっとストレートな言い方をすると、その手のヴェンゲル批判は毎シーズンの恒例行事というか。
山中:論点的に目新しいものはあまりないと?
田邊:そう。むしろヴェンゲル体制の弊害というのは、もっと本質的な問題に関わってくる。このテーマについては、いずれどこかの媒体で書くつもりですが、アーセナル以外で戦術論的に気になったチームや監督はあります?
山中:最終節が散々だったんですが、リバプールですかね。もちろんロジャースに関しては、戦術やシステムをころころ変え過ぎたという批判もある。
とはいえチーム事情が酷いにもかかわらず、まがりなりにも6位でシーズンを終えられたのは、要所要所でロジャースが、スパッと方針を切り替えたことに負うところが大きいのかなと。
現に3バックに変更してスターリングを1トップで使った頃は、かなりイケイケになったじゃないですか?
田邊:あの頃の勢いを維持できれば、CL出場枠を確保するのも夢ではなかったかもしれないですね。
山中:「ジェラードさよならツアー」がもっと盛り上がったでしょうし。
田邊:ロジャースに「さよなら説」が出ることもなかった(苦笑)。
ただ僕も山中さんのように、ロジャースに対しては結構、同情的な見方をしていて。今シーズンの彼は「意あって力足らず」の典型だったような気がします。やりたいことはわかるし、然るべき手も打っているんだけど……。
山中:いかんせん、チームが発展途上過ぎる。だから個人的には、ロジャースの解任に反対なんですよ。可能性としては低いと思いますけど、これで監督を代えたりしたら、またゼロからチームを作り直す形になってしまう。
田邊:タブロイドがチームカラーに引っ掛けて「レッドアラート」だとか、「ユー・ウィル・ウォーク・アローン(君は一人でチームを去っていく)」といったような見出しを打つのは目に見えている(笑)。
山中:キャッチフレーズのネタには事欠きませんから(笑)。