【チャンピオンズ・リーグ】崖っぷちバイエルン…ジンクスが稀少例を生み出すか!?

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年05月11日

長き欧州王者争いの歴史において3点差を逆転したのは10試合。

大きなダメージを負ってしまった第1レグのバルサ戦。 (C) Getty Images

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 チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝、アウェーでの第1レグでバルセロナに0-3の完敗を喫したバイエルン。内容的にも圧倒され、心身ともに相当なダメージを負ってミュンヘンに帰還する羽目となった。
 
 3バックで臨んだことが、各方面から批判をされているジョゼップ・グアルディオラ監督も「第2レグを難しいものにしてしまった」と失敗を認め、選手も「簡単にカウンターを許してしまった」と語るフィリップ・ラームのように後悔の言葉ばかりを口にしている。
 
 バイエルンが逆転で決勝進出を果たすには、最低でも3点、90分間で勝利を決めるには4点を奪わなければならない。しかも強力なバルサを零封して……。
 
 準々決勝では、第1レグでポルトに1-3と敗れながらも、第2レグで6-1の大勝を飾って逆転勝ち抜けを決めたバイエルンだが、攻守で多くの負傷者が出て駒不足に苦しんでいる状況で、より強大な敵を相手に同じドラマを再現するには大きな困難が伴うだろう。
 
 3点差――。これがバイエルンに重くのしかかっている。CLの歴史(チャンピオンズ・カップ時代も含む)において、この点差を第2レグでひっくり返したケースは、以下の10カードしかない。
 
◇CLで3点差を逆転したケース
2003-04・準々決勝 デポルティボ 1-4・4-0 ミラン
1993-94・予選1回戦 コペンハーゲン 0-3・4-0 リンフィールド
1988-89・1回戦 ブレーメン 0-3・5-0 ディナモ・ベルリン
1988-89・2回戦 ガラタサライ 0-3・5-0 ヌシャテル・ザマックス
1985-86・準決勝 ステアウア・ブカレスト 0-3・3(5PK4)3 イェーテボリ
1975-76・2回戦 レアル・マドリー 1-4・5-1 ダービー
1974-75・2回戦 サンテティエンヌ 1-4・5-1 ハイデュク・スプリト
1970-71・準決勝 パナシナイコス 1-4・3-0 レッドスター・ベオグラード
1969-70・2回戦 ベンフィカ 0-3・3-0 セルティック(注)
1965-66・準々決勝 パルチザン・ベオグラード 1-4・5-0 スパルタ・プラハ
(注)コイントスで決着
※シーズン・ラウンド/勝者/第1レグ結果・第2レグ結果/敗者
 
 最も直近でも2003-04シーズンということで、サッカーという競技において、いかに3点差のスコアを逆転するのが至難の業であるかが分かる。ちなみに、2点差を逆転したケースはほぼ全てのシーズンに存在しており、わずか1点の違いがとてつもなく大きくて高い壁になっているようだ。
 
 バルセロナのファンやサポーター、スペインのメディアなどはすでに決勝進出を確信しており、早くもベルリンでの「クラシコ(レアル・マドリーとの対決)」に思いを馳せている者も少なくはない。バイエルンがホームで勝つことは十分にあるだろうが、それでもバルサが3点差以上をつけられることはない、というのが彼らの考えだ。
 
 あまりに多くの条件や制約の下で、限りなく不可能に近いミッションに臨むバイエルン。今シーズン、国内ではリーグ3連覇を果たして一強体制を固めたが、過去3度の3連覇において、その最終シーズンには必ずバイエルンはCLで決勝に進出してきた。
 
 最初の3連覇は1971-72~73-74シーズン。ウド・ラテック監督の下、ゼップ・マイヤー、フランツ・ベッケンバウアー、パウル・ブライトナー、ゲルト・ミュラーといった西ドイツ代表で各ポジションの軸となった選手を擁したバイエルンは、73-74シーズンに欧州の戦いで決勝へ進出し、アトレティコ・マドリーを再試合の末に下した。ここからバイエルンは、欧州3連覇を成し遂げていく。
 
 2度目は84-85~86-87シーズンで、この時も監督はラテック。ジャンマリー・プファフ、クラウス・アウゲンターラー、アンドレアス・ブレーメ、ローター・マテウスといったワールドクラスのスターが強力なチームを構成し、86-87シーズンにはポルトと欧州王者を争った。
 
 しかしこの時は、戦前に圧倒的有利といわれ、さらに先制したにもかかわらず、ラバ・マジェールの歴史に残るヒールシュートなどでポルトに大逆転を喫し、試合後にはラテック監督が選手を批判するなど、後味の悪いフィナーレを迎えた。
 
 そして最後は98-99~2000-01シーズン。オリバー・カーン、ビセンテ・リザラズ、シュテファン・エッフェンベルク、イェンス・イェレミース、メーメット・ショル、ジオバネ・エウベル、カルステン・ヤンカーといった一流選手で構成された国際軍団がオットマール・ヒッツフェルト監督に率いられ、00-01シーズンにサン・シーロでバレンシアと対戦した。
 
 試合はPK戦にもつれ込んだが、バイエルンは守護神カーンのセーブで欧州の頂点へ。ロスタイムに2点を奪われてマンチェスター・ユナイテッドの軍門に降った2シーズン前の屈辱を晴らしたのだった。
 
 今シーズン、3連覇を果たしたチームには、世界王者ドイツ代表の中核を成す選手が大勢所属し、これに各国のスターがうまく融合したドリームチームであり、さらにグアルディオラ監督の高度かつ柔軟な戦術が浸透しており、過去3度の3連覇チームと比べても、総合力、豪華さでは一番と言えるかもしれない。
 
 それでも、決戦を前にしたバイエルンの運命はもはや風前の灯火であると見られている。それほどまでにバルサ、そして3点差の壁は厚くて高く、さらに負傷者の続出がバイエルンに重くのしかかっている。
 
 大方の予想通りの結果に終わるか、11個目の稀少例を生み出して国内3連覇のジンクスを守るか――。戦いの結末に注目が集まる。

00-01シーズン。国内外のタレントを擁して悲願の欧州タイトル制覇を果たした。ちなみに国内3連覇のシーズンに、これまでDFBポカール(国内カップ戦)で優勝したことはない。 (C) Getty Images

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