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平凡なチームを通り越してもはや“弱小チーム”? 全てで相手に劣り完敗を喫したミラン――ウディネーゼ 2-1 ミラン

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年04月26日

優勢な時間がほとんどないまま90分を終えたワーストゲーム。

ウディネーゼは、ディ・ナターレと他のチームメイトが互いに活かし合う関係ができ上がっていた。対するミランは、武器であるはずのメネーズやパッツィーニをチームとして活かす動きがほとんどない。 (C) Getty Images

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 セリエA第32節、ミランは敵地でウディネーゼに1-2で敗北。27節のフィオレンティーナ戦以来、5試合ぶりの黒星となった。
 
 スコアレスドローに終わった前節のミラノダービー後、フィリッポ・インザーギ監督は勝点3を奪えなかったことを残念としながらも、「今年に入ってからの難しい期間を抜け出したことは大きい」と語っていた。
 
 厳しくはなったものの、数字上は可能性を残しているヨーロッパリーグ出場に向けて、残り試合で勝利を重ねていかねばならないミラン。そんな彼らにとって、アウェーマッチとはいえ、6試合勝利なし、しかもダントツの最下位パルマにも敗れているウディネーゼは、再び上昇するための勢いを得るにはうってつけの相手と思われた。
 
 しかしこの試合のミランは、今シーズンのワーストゲームと言ってもいいような内容に終始し、勝点1すら得られないという最悪の結果に終わった。
 
 試合開始直後からホームチームのプレッシャーを受け、1分も経たないうちにアントニオ・ディ・ナターレの際どいシュートを許したミランは、優勢と言える時間帯がほとんどないまま90分間を終えたのである。
 
 全てのプレーで反応が鈍く、守備ではシンプルかつスピーディーな攻撃を仕掛けるウディネーゼにペナルティエリア手前まで簡単に侵入され、何とか最終ラインが踏ん張ってシュートを防ぐ状況。攻撃では相手を崩すためのパスワークというものが存在せず、個人で仕掛けては簡単に奪われ、そこから速攻を食らうという悪循環に陥っていた。
 
 ウディネーゼがFWディ・ナターレを活かすためのプレーを徹底し、ディ・ナターレはフィニッシャーだけでなくチャンスメーカーとしても機能したのに対し、ミランのCFジャンパオロ・パッツィーニは孤立してまともにボールにも触れず、しびれを切らして下がるも、ボールを収める前に相手DFに潰されてしまった。
 
 武器を有効活用したチームと、そうでないチームの明暗は、あまりにもくっきりと分かれた。
 
 それにしても、ミランはもはや「平凡なチーム」を通り越して「弱小チーム」にまでなり下がってしまったかのようだ。組織プレーの熟成度では対戦するどのチームにも負け、このウディネーゼ戦では個々も1対1や空中戦で競り負け続けた。
 
 一流選手が有しているはずの試合を読む力、チャンスを嗅ぎ付ける力というものが、現在のミランの選手からは見受けられず(ジェレミー・メネーズは別だが)、戦術の未熟さを個々で補うこともできない。スペースにボールを蹴り込んだ選手とこれに反応できなかった選手が、互いを責め合う場面が何度見られたことだろうか。
 
 また、意図のない攻撃のなかで偶然チャンスを得たとしても、マルコ・ファン・ヒンケルが幾度か見せた、力のない大きく枠を超える迫力ゼロのフィニッシュは、前線でボールを待ち続けるパッツィーニを怒らせ、他の選手を脱力させ、見る者を白けさせた。
 
 対するウディネーゼの鋭いシュートの数々は、前半から味方を勢いづけ、徐々に得点に近づいているという予感を見る者にも抱かせた。そして57分にCKからジャンピエロ・ピンツィが、73分にはディ・ナターレの素早いミドルに端を発したダイレクトプレーの連続からエマヌエル・アギエマン=バドゥが、それぞれのゴールでホームの観客を沸かせた。
 
 ミランは87分にアレッシオ・チェルチのセンタリングをパッツィーニが頭で合わせて一矢を報いたが、あまりに遅すぎた。パッツィーニがゴール前でフィニッシュまで持ち込めるようなボールを味方から受けたのは、この場面だけだったと言ってもいい。
 
 マッティア・デストロの交代出場でCF2人が前線に並び、相手マークがいくらか分散したことによるパッツィーニのゴールとも言えるかもしれないが、ならばデストロ登場時からチームとしてこの2トップを活かす攻撃を仕掛けるべきだった。それを選手に理解させられないインザーギ監督、一方、指揮官の意図を汲めない選手たち……。
 
 完敗を喫したミラン。そんななか、本田圭佑は4試合連続で出場がなかった。パッツィーニが縦に大きく動いて前線にスペースができた際には、本田のようなタイプの選手が活きるのではないかと思われたが、今回もインザーギ監督の選択肢からは外れた。
 
 残り6試合。もはや欧州カップ云々の問題ではない。このまま、無策で腑抜けたようなプレーを続けることは、来シーズンのチームにも多大なダメージを与えることになりかねない。少しでもポジティブなエンディングを迎えるために、ミランは生まれ変わらなければならない。そこで、本田はいかなる役割を担うことになるだろうか。
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