【U-22日本代表】五輪アジア1次予選総括|選手たちの意識を成長につなげたい

カテゴリ:日本代表

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2015年04月01日

チーム全体の守備意識は際立つも、攻撃には物足りなさが残る。

初戦のマカオ戦こそ大量ゴールを奪ったが、続く2戦は思うように得点を重ねられず。3試合ともに無失点だったとはいえ、相手のレベルを考えれば結果は物足りない。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 3月27日から始まったリオデジャネイロ五輪アジア1次予選で、日本はマカオ、ベトナム、マレーシアを相手に3連勝。グループ1位の成績で来年1月にカタールで開催される最終予選に駒を進めた。
 
 盤石の予選突破だった。
 
 試合ごとの局面を切り取れば、失点の危険性が高いシーンもあるにはあった。ただそれも数える程度で、最後まで集中を切らさずに無失点のまま3試合を終えたチームの戦いぶりは称賛に値するだろう。
 
 DF陣の奮闘はもちろん、CBの奈良竜樹が「前の選手たちが奪われた後の切り替えも速くて、僕たちのところに来る前にカウンターを止めてくれていた」と感謝するように、チーム全体の守備意識の高さは際立っていた。
 
 一方、攻撃面はいささか物足りない。今予選のメンバー発表の席上で手倉森誠監督は「引いた相手を破って点が取れるサッカーを披露したい」と意気込みを語っていた。しかし、初戦のマカオ戦こそ大量7ゴールを奪い、指揮官の狙いどおりに好スタートを切ったものの、続くベトナム戦は2-0、最後のマレーシア戦では1-0と、圧倒的な攻撃力を見せられたわけではない。
 
 ベトナムとマレーシアは、ともに5バック+中盤4枚の超守備的布陣で日本に挑んできた。当然、日本がボールを保持する時間が長く、引いた相手をいかに攻略するか、それが試される格好のシチュエーションが用意されていたと言えよう。
 
 そして、日本はその2試合とも攻めあぐねた。たしかに、ゴールチャンスはいくつも作った。サイドアタックから、複数人が絡んだコンビネーションから、個の突破から、セットプレーからと、バリエーション豊富に相手ゴールに迫っていく。ゴールが決まらなかったにせよ、最後はシュートで終わり、多くの決定機を作ったということを考えれば、『点を取る形はできていた』と解釈できる。
 
 ベトナム戦では、サイドからの広がりのある攻撃が不十分だった。これを受けてマレーシア戦では、例えば、2列目の両サイドを務めた野津田岳人、荒野拓馬は外から中に入って行くフリーランでDFを引き連れ、室屋成と安在和樹の両SBがオーバーラップするスペースを作り出し、効果的にサイドを崩すことができていた。
 
 マレーシア戦が今予選初出場だった室屋は「何本か良い形をチームとしても作れていた」と手応えを口にする。3試合すべてにスタメン出場したキャプテンの遠藤航も、最少スコアで勝利したこのマレーシア戦について「物足りないですけど、チャンスは作れていたと思う」と語っている。
 
 また、久保裕也と南野拓実という欧州組が揃って先発に名を連ねたベトナム戦は、「前半のメンバーはほとんど初めての組み合わせと言っていいぐらい」(大島僚太)ではあったが、「そういうなかでも声を掛け合いながらやれていた部分がある」(大島)のは、今後に向けた好材料のひとつとなるだろう。
 
 思うようにゴールを奪えなかった要因は、結果的にはフィニッシュの精度になる。こればかりはすぐに改善できるものではない。乱暴な言い方をすれば、ゴールというのは決まる時は決まるし、決まらない時は決まらないもので、「ボールに足が当たるちょっとしたズレだったり、ヘディングする時の少しの角度の違いで、全然違ってくる」(鈴木武蔵)。選手たちは日々のトレーニングで、時間をかけてその差を埋めていくしかない。
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