【広島】“紫のバンディエラ”へ――茶島雄介が掴んだ確かな自信

カテゴリ:Jリーグ

小田智史(サッカーダイジェスト)

2015年03月23日

「浦和戦は、自分がこれくらいできるという指標になる」

茶島は浦和相手に柔軟かつダイナミックなプレーを披露。自信を深めつつも、「最後の部分の精度やアイデアは磨いていかないといけない」と先を見据える。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 身長166センチ・60キロ――。広島×浦和の首位対決のピッチに立った誰よりも小柄で、通算出場試合数の少ない(リーグ戦1試合)茶島雄介は、ピッチの中で大きな存在感を放っていた。

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 開幕から2試合連続で先発した浅野拓磨が、U-22日本代表の一員として五輪予選に参加のため不在。ドウグラスや工藤浩平といった実績のある選手もいるなか、森保一監督は過去2戦でベンチ入りさえしていなかったユース出身の茶島を送り出した。
 
 立ち上がりは、対峙した浦和の森脇良太の激しいマンマークに押し返され、ボールを受けて前を向くことさえできなかった。それでも、相手が食い付いてくることで生まれるスペースを見逃さず、「相手が出てきたところで裏を取って剥がしたり、自分のところでかわせば必然と数的優位が作れると思いました」とすぐさまプレーイメージを修正した。
 
 18分、攻め上がった森脇の裏のスペースに抜け、青山敏弘からパスを受けると、そのまま中央に切り込んで、思い切り右足を振り抜く。惜しくもシュートは枠を捉えられなかったが、37分にも相手が前がかりになったところで上手く裏を取り、塩谷司のパスに左足のダイレクトボレーで合わせて決定機を創出(結果はミートし切れず枠外へ)。また、相手の寄せに倒れず、巧みに反転してボールを前線に運ぶなど、フィニッシュに行くまでの起点となった。
 
 今季初出場、自身2度目の先発。まして浦和との大一番となれば、浮き足立ってもおかしくはないが、昨季リーグ戦唯一の出場となったG大阪戦で、日本代表の遠藤保仁や今野泰幸と対峙した経験が活き、「落ち着いてゲームに入れました」と茶島は振り返る。
 
 攻守におけるハードワークは森保監督も認めるところで、走行距離は後半途中に交代しながらチーム6位の9.82kmをマーク。試合後にはチームメイトや監督から「よく走った」と労いの言葉があったという。シャドーでコンビを組んだ森﨑浩司も「チャジ(茶島)は本当に良いプレーをしたと思う。アイツ自身も手応えを感じているはず」と太鼓判を押すが、自己評価は「60、70点」と厳しい。
 
「正直に言えば、レッズ相手でも自分のプレーができたので自信になりました。(自分も)これくらいはできるというひとつの指標になったと思います。でも惜しいだけでは満足できません。後半は良いプレーができず、疲れてスタミナ的にも厳しかったので」
 
 チャンスを仕留め切れなかった点、後半上手くパスをつなげず、決定的なシュートまで持って行けなかった点は森保監督も課題に挙げる部分。本人も「やっぱり最後のゴールを決める、アシストする部分の精度、クオリティ、アイデアはもっと磨いていかないといけない」と、その視線はすでに前を向いている。
 
「自分の特長はスピードや運動量を維持しながら、ドリブル、裏への動き、パス、シュートと幅広くできる部分。そのなかで、最後の精度を高めてゴールもアシストもできる選手になりたい」
 
 次節(4月4日)には、浅野拓磨と野津田岳人も五輪予選から戻ってくる。再びピッチに立つためには、ドウグラス、工藤、柴﨑晃誠を含めた厳しい競争を勝ち抜かなければならない。茶島のチャレンジはまだ始まったばかりだ。
 
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
 

43分には、スルーパスで佐藤(11番)のシュートを演出。惜しくも得点にはならなかったが、裏への動き出しを見逃さない視野の広さとパスセンスを示した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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