コートジボワール、2度目の大陸制覇!! 優れた個を短期間で強い集団に変えたフランス人

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年02月10日

92年以降、タイトルを逃し続けてきたタレント集団の変化とは。

優れたタレントを擁して“ようやく”2度目の戴冠を果たした“エレファンツ”コートジボワール。 (C) Getty Images

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決勝戦のPK戦についてルナール監督は「2人が外した時は厳しいと思ったが、歴史は繰り返した」と。3年前のザンビアでの優勝も、決勝戦はPK戦で決着した。 (C) Getty Images

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 1月17日から赤道ギニアで開催されていたアフリカ・ネーションズカップ。2年毎に大陸王者を決める約3週間のコンペティションで今回、16か国の頂点に立ったのは、昨夏のブラジル・ワールドカップで日本に大きな失望を味わわせたコートジボワールだった。
 
 通算2度目となる優勝は、PK戦で決した。ガーナとの一進一退の戦いは120分を通してスコアレスに終わり、11メートルの対決でも双方11人のキッカーを送り出すという壮絶なものとなった。
 
 コートジボワールは1番目手のウィルフリード・ボニから2人が続けて外し、絶体絶命のピンチに陥ったものの、GKブバカル・バリーの好守などでタイに追いついた。そして11人目は両チームの守護神が蹴り合い、相手GKを止めたバリーが最後に自らネットを揺らして、激戦に決着をつけた。
 
 当初の開催国だったモロッコがエボラ出血熱の発生で開催権を剥奪され、その後に代替国をめぐってひと悶着あり、様々な疑惑も噴出したが、開催国となった赤道ギニアが4位と躍進したことで、大会自体は荒れ気味ながらも盛り上がりを見せた。
 
 通算最多優勝(7回)を誇るエジプトが予選敗退を喫し、本大会でもグループリーグでカメルーン、セネガル、南アフリカが下位に沈む一方で、アルジェリアは昨夏に続いて好チームぶりを見せ、また前述の赤道ギニアやコンゴ民主共和国がベスト4進出と躍進を果たすなど、大陸の戦力分布は以前とは変化しつつあることを感じさせた。
 
 気候を考慮して毎回、この時期に開催されるアフリカ・ネーションズカップ。出場各国には欧州でプレーする選手が多いため、シーズン中に離脱されてしまう所属クラブは以前からこの大会に不満を持っているが(アジアカップも同様だ)、大陸王者のステータスは選手にとって想像以上に高いようで、ピッチ内外で熱い試合が今回も展開された。
 
 そんな大会を制したコートジボワール。コロ&ヤヤのトゥーレ兄弟、ボニ、ジェルビーニョなど、欧州でも高い評価を受けているスター選手を多数擁しての戴冠は、さほど不思議ではない。
 
 しかしそんな強国も、前回の優勝は1992年。英雄ディディエ・ドログバを擁した2006年、12年には決勝戦に進んだものの、エジプト、ザンビアの前にいずれもPK戦の末に涙を飲んでいる。ちなみに過去30大会で、ベスト4入りは10回である。
 
 詰めが甘く、いまひとつ真価を見せられないでいたコートジボワールを今回、ひとつの高みに導いたのは、46歳のフランス人監督、エルベ・ルナールだ。
 
 アフリカ各国の代表監督やコーチを歴任したルナール監督は、2013-14シーズンに母国のクラブ、ソショーを率いたものの降格を回避できずに退任、昨夏7月にサブリ・ラムシの後任としてコートジボワール代表の監督に就任していた。
 
 このルナール監督、実は前述した2012年の決勝でコートジボワールが敗れた際の、相手ザンビアの監督であり、初優勝をもたらしたことで同国では今でも英雄視されている。そして今回、2度目の優勝を飾ったわけだが、アフリカ・ネーションズカップの歴史において、異なる2か国で優勝を飾った初の監督となった。
 
 歴史を作った若き名将は、堅実な戦術もさることながら、優れたモチベーターとして評価されている。個々の力では他国を上回りながら、波のある戦いを続けていたコートジボワール(先のワールドカップを見れば分かるだろう)に安定感をもたらしたのは、ルナール監督の言葉だったという。
 
 決勝戦の前には、「この世代でタイトルを獲るのは今回がラストチャンスである」と選手に発破をかけて、最後まで集中力を保たせることに成功した。
 
 大会全体を見ても、荒れたギニアとのグループリーグ初戦でジェルビーニョが退場となり、続くマリ戦と続けてドローに終わるも、ここで切れることなくカメルーンとの最終戦を制し、準々決勝ではアルジェリアに主導権を握られながらも集中を切らさずに守り切り、確実にチャンスを得点に結びつけた。
 
 コンゴ民主共和国を下して決勝進出を果たした後、ルナール監督は「優れた選手たちが偉大な“集団”に変貌したのが強さの証」と語ったが、チームをひとつにしたのは指揮官の存在が大きかった。
 
 ザンビアで初戴冠を遂げた際には、「運が良かっただけ」という陰口も叩かれ、「選手のハードワークと努力、そして組織の力による勝利」と反論したルナール監督だが、今回は称賛ばかりがこの青年監督の元に届くことだろう。
 
 折しも日本代表は今、ハビエル・アギーレ監督の後任探しに躍起となっているが、代表監督とは、選手に最適な戦術を与えるのもさることながら、やる気と集中力、そして一体感をもたらすモチベーターとしての能力が何より重要であることを改めて知らしめる、“エレファンツ”の勝利と歓喜だった。

大会を盛り上げた開催国・赤道ギニアのベスト4入り。それまではベスト8が最高成績だった。 (C) Getty Images

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クリスティアン・グルキュフ監督に率いられたアルジェリアは、ファイナリスト2チームには敗れたものの、ハイレベルなプレーを披露。80年代にアフリカの主役の座を張ったマグレブの雄は、今度こそ本当に目覚めたのか。 (C) Getty Images

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