「練習は関係ない」ザルツブルク移籍から2週間、南野拓実が直面する現実とは――

カテゴリ:ワールド

山口裕平

2015年01月25日

南野の技術はチーム内でも頭ひとつ抜きん出ている。

ザルツブルクでも技術の高さをいかんなく発揮している南野だが、問題はそれを試合で発揮できるかだ。(C) Getty Images

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 日本代表がオーストラリアでアジアの頂点を目指して戦っていた一方で、次代の日本を担うと期待されている若き才能はオーストリアで新たな戦いの準備を始めていた。U-22日本代表にも選出されている南野拓実がザルツブルクへ渡ってから2週間。彼はいま新天地で何を感じているのだろうか? チームがドバイ合宿へと向かう前にその感触を尋ねておきたかった。
 
「(手応えは)感じていますけど、試合になってみないと分からないので、なんとも言えないですね」
 午前にフィットネス・トレーニングをこなした南野はそう答えた。この言葉の真意はどこにあるのだろうか? 午後に行なわれるチーム練習を見て確かめることにした。
 
 午後3時、ザルツブルクの選手たちが再びピッチに姿を現わし、チーム練習が始まった。軽くアップを終えると、ペナルティエリア程の広さで20人程の選手が2チームに分かれてボールポゼッション練習が始まった。このグリッドは2つに分けられており、選手のグリット間の行き来は禁止。しかしボールはひとつしかないため、片側のグリットの選手たちはボールが逆側のグリットにある間はただそれを眺めているだけだ。
 
 だがそれにも理由がある。練習の強度が非常に高いのだ。グリッドが小さいため必然的にボールへの寄せは速くなって目まぐるしく攻守が入れ替わり、選手たちは息を突く間もなく動き回らなければならない。
 
 多くの選手にミスが目立つなか、それでも南野はその高い技術をしっかりと発揮していた。相手の素早い寄せにも慌てずしっかりと相手の動きを見極め、ミスすることなくボールをつないでいく。どうやらチーム内でもボールを扱う技術の高さは頭ひとつ抜きん出ているようだ。
 
 次はハーフコートでゲームに近い形でのポゼッションゲーム。選手たちはフォーメーション通りにピッチに広がり、南野は左サイドハーフに入る。驚くべきことにコートのサイズがペナルティエリアからハーフコートに変わってもプレスの強度が落ちなかった。この練習でも攻守が目まぐるしく入れ替わり、選手たちはアグレッシブにボールへの寄せを繰り返していく。
 
 このアグレッシブさこそがザルツブルクの真骨頂。かつてドイツ・ホッフェンハイムで旋風を巻き起こしたラングニックSDの下でチーム作りが行なわれ、昨季までにシュミット前監督(現レバークーゼン監督)が激しいプレッシングを仕掛けるチームを作り上げた。今季もその路線は継続され、ヘッター監督の下で非常にアグレッシブなサッカーを展開している。この日行なわれた練習もまさにそんなコンセプトを反映した練習で、選手たちは豊富な運動量と素早い切り替え、縦に速く攻める意識が求められていた。
 
 しかし、それほど激しいプレスが掛かっている状態では、両チームの選手ともになかなか正確にボールをつなぐことができない。持てる技術を発揮する機会は限られ、南野がボールに触れる回数も多くはなかった。
 
 ただ南野自身「そんな(激しいプレスの)なかでどれだけできるかだと思う」と、限られたボールタッチの中で違いを作り出していくことに意識して取り組んでいるようだ。それは練習の最後に行なわれたフルコートでの試合形式の練習で垣間見られた。
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