【J1コラム】今季限りで柏を退団 改めて噛みしめたいネルシーニョの哲学

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2014年12月03日

基本を大切にした指導。

J1通算137勝は歴代2位。チームを勝たせる稀有な名将の哲学に改めて迫る。 (C) SOCCER DIGEST

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 5年半、柏レイソルを率いたネルシーニョ監督が、今季限りで退団する。J1勝利数は歴代2位でタイトルマッチには負けなし、毎年のようにタイトルを獲得した。Jリーグ屈指の指導者といっていい。
 
 2011年、史上初のJ1昇格即優勝を成し遂げたとき、メディアは「ネルシーニョ・マジック」という言葉で彼の功績を持ち上げた。だが本人は「マジックという言葉は好きではない」と語っている。
 
 実際にネルシーニョは、基本を大事にした指導を行なってきた。やるべきことを徹底してやり、やってはいけないことを強く戒める。偶然性には少しも頼っていない。
 以下の言葉から、それはわかる。
 
 フィジカルについて。
「降格したとき、まず選手のフィジカルを鍛えるところから手をつけた。選手は元々J1でプレーする実力の持ち主であり、それが勝てなかったのは持久力が欠けていたからだ。持久力をつければプレーが安定し、技術が向上する。技術が向上すれば戦術が向上し、無理をすることなくボールを運ぶことができる」
 
 コンパクトについて。
「コンパクトというのは、チームとして戦う姿勢です。サッカーはチームスポーツである以上、コンパクトに戦わなければならない。チームをコンパクトに組織することで、プレーの連続性の質が上がり、ミスしたときにも味方がカバーできる。コンパクトを確保すれば、少ない運動量でも生産性を上げられるのです」
 
 トライアングルについて。
「トライアングルを作ると、ボール保持者に最低ふたつのパスコースの選択肢が生まれる。さらにトライアングルの外にふたりが顔を出すことで、近くの3人での崩しに加えて、サイドチェンジという外の選択肢も生まれる」
 
 利き足とサイドの関係について。
「基本的に右利きは右サイド、左利きは左サイドでプレーするのがいいと考えている。というのはボールを持ち替えなくても、シュートやクロスに持ち込むことができるから。1秒程度、もしくはコンマ数秒の違いかもしれませんが、この違いがゴールの確率を大きく上げるのです」
 
 すべてが理に適っていて、奇をてらうようなことは言わない。
 実際にネルシーニョの試合運びは極めてオーソドックスだ。今季、5バックを続けているように、失点しないことから試合を組み立てていく。
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