ミランの新機軸とされる「4-2-3-1」システムで本田に求められるものとは!?

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年09月28日

失格の烙印を押された昨シーズンの雪辱を晴らせるだろうか!?

エンポリ戦では同点弾。三たび目に見える仕事を果たしたが、チームとしては勝点3を期待していた試合でもあった。 (C) Alberto LINGRIA

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 開幕2連勝の後、大一番のユベントス戦では力の差を見せつけられて初黒星を喫し、続くエンポリ戦は新加入フェルナンド・トーレスの初ゴールと本田圭佑のシーズン3ゴール目によって引き分けに持ち込んだミラン。4試合で10得点はインテルと並んでリーグ最多だが、一方の失点もチェゼーナ、サッスオーロと並んでリーグ2番目の多さである(1位はパルマの10)。
 
 ユベントス戦の完敗を受け、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長が現場に顔を出すなどクラブ内もにわかに慌ただしくなった。これによって守備面の改善に手がつけられることとなり、5節のチェゼーナ戦では、これまでの4-4-3から4-2-3-1にフォーメーションが変更されるものと思われる。
 
 本田はこれまで、前線の右サイドでプレーして試合ごとに評価を高めているが、新システムにおいても、2列目の中央(トップ下)ではなく、これまで通り右サイドのポジションを担うことになりそうだ。なお、予想されるスタメンは以下の通り。
 
GK:アッビアーティ
DF(右から):アバーテ、アレックス、サパタ、デ・シリオ
MF(3列目右から):エッシェン、デヨング
MF(2列目右から):本田、メネーズ、ボナベントゥーラ
FW:トーレス

 4-3-3との違いは、ディフェンシブハーフがふたりに増えること。これにより、守備に厚みを加えることはできるが、攻撃面ではインサイドハーフのフォローがない分、2列目の選手には今まで以上に運動量や効果的なプレーが求められることになる。
 
 本田については、ウイング的な動きや中央へ切れ込んでいくプレーなど、状況に応じてさまざまな動きがと必要となるが、今シーズンは運動量の多さが評価されているし、右SBイグナツィオ・アバーテとの連係もスムーズにいくようになっていることもあり、サイドでのプレーについてはあまり心配ない。
 
 注目は中央への動きで、自身がドリブルで持ち込んで、そこから自らシュートを打つか前線のトーレスなどに決定的なパスを出す、あるいはボールを受けた位置から素早くフィニッシュにつながるプレーを見せられるか。ワントップということでゴール前にスペースは生まれるが、トップ下に位置するジェレミー・メネーズとは互いのポジションを潰し合わないようバランスは重要になる。
 
 プレーとしては、これまでよりもチャンスメイクが求められるが、同時にこれまでと同じく得点も重ねていく必要がある。そのふたつをこなしてこそ、背番号10としての地位をようやく確立できると言えよう。
 
 4-2-3-1といえば、昨シーズン途中に監督に就任したクラレンス・セードルフが最初に採用したシステムだ。本田はそのなかでトップ下が最適といわれながらも2列目の右サイドで起用され、周囲との連係は悪く、またプレーのスピードを欠いて攻撃のリズムを崩してしまい、ボールロストの回数も多いなど、酷評を受け、右サイド失格の烙印を押されてしまった。その後、システムはフロント陣の介入によって、より中盤の守備を厚くした4-3-1-2へ変更され、本田はポジションを失った。
 
 あの苦い思いをしたフォーメーションで、本田は順応性をの高さを示すことができるか。これは単に成長した姿を見せられるかいう期待だけではない。本田がここで勝利につながるような結果を出せなければ、チームは勝利を上げられず、それによりさらなるシステム変更が敢行されることで攻撃のポジションは減り、最終的には昨シーズンのようにベンチに座ることを強いられるかもしれない。そうなる前に、他の有能な選手に取って代わられる危険性も十分ある。
 
 このところは、イタリア国内でも本田に対する評価は高まっているが、かといってそのポジションが安泰と見ているメディアはひとつもない。

 奇遇にも、チェゼーナとミランの4節までの対戦相手はまったく同じで、獲得勝点、総得点ともにミランが上回っている。つまり、ミランにとってはアウェーマッチとはいえ勝たなければならない相手であり、本田にはチームのため、自身のためにも、直接的に勝利につながるプレーだけが期待される。

トップにトーレスを置いた状態で、メネーズと本田がどのような動きを見せるか。それが今後のミランの攻撃の形を決するかもしれない。 (C) Alberto LINGRIA

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