【日本代表 コラム】船出の2連戦で何が見えた? アギーレ率いる新生JAPANの未来とは――

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年09月10日

資質重視のスタメンを送り出したウルグアイ戦は惨憺たる内容に。

資質から逆算した「理想のスタメン」を送り出したウルグアイ戦は惨憺たる内容に終わった。今後は現実と折り合いをつける作業が進むはず。(C) SOCCER DIGEST

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 アギーレ新体制の船出は、1分け1敗という結果に終わった。4年後を見据えたスタートを切ったばかりの新生日本代表だが、この2連戦からチームはどのような歩みを見せていくのだろうか。スポーツライターの加部究氏が、日本代表の未来図を探る。
 
【写真で振り返る】日本 2-2 ベネズエラ
 
 今回招集された新鮮な顔ぶれは、そのままハビエル・アギーレ監督の募集要項とも見て取れる。すでに就任に際して「責任感」「走れる」などのキーワードは提示されていたが、実際に23人の顔ぶれやウルグアイ戦のスタメンを確認し、どんな人材を求めているかが具体性を帯びた。来日後十分な視察の機会を持てていないことを考えれば、新戦力の大半は技術委員会等の助言に基づく人選だったことは容易に想像がつく。つまりウルグアイ戦でスタメン出場を果たした皆川佑介、田中順也、細貝萌、森重真人、坂井達弥には、こんなタイプが必要だというメッセージが込められていたに違いない。
 
 そして改めてキーワードを加えるなら「高さ」「レフティー」「若さ」だ。4-3-3をベースに考えるアギーレ監督は、CF、アンカー、CBに高さを、またピッチの左半分にはレフティーを求め、さらに前体制からの変化(代謝)を図った。必然的に人材難なポジションほどサプライズが大きかったわけで、特に長身で左利きという条件を満たす選手が乏しいCBは、今年はリーグ戦でも4試合しか出場していない坂井が抜擢された。
 
 つまりアギーレ監督は、就任初戦では資質から逆算した理想のスタメンを送り出しわけだが、案の定、机上の論理は空回りして内容は惨憺たるものだった。相手がウルグアイでなくても、ほとんど見せ場は作れずに終わっていた可能性が高い。そこで4日後のベネズエラ戦では、スタメンを5人入れ替えてきたが、今後はさらに現実との折り合いをつける作業が進むことになるはずだ。
 
 例えばベネズエラ戦では、左CBに入った吉田麻也が左足でフィードを繰り返していた。オランダ時代は対戦相手に「左利き」と勘違いされた経験もあり、指揮官が敢えてレフティーに固執するより有効だと判断すれば、坂井より水本裕貴の優先順位が上がる。CFも186センチの皆川より、182センチの大迫勇也の方が機能すると考えれば、4センチの違いには目をつぶるだろうし、それ以上に高さにこだわるならハーフナー・マイクの招集が検討されるはずだ。
 
 高さへのこだわりは、森重のアンカー起用にも見て取れる。アギーレ監督は、CBと同様にアンカーにも高さを求めている。183センチの森重の高さはCBには不十分だと考え、構成力などの適性も考慮して1列前に配した。FC東京戦は二度視察しているので、最終ラインでの森重のプレーぶりも確認した上での判断だろう。一方で細貝をアンカーではなく、攻撃的MFとして使うのも、同様に高さが足りないと考えているに違いない。
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