【2014南関東総体】大津を象徴する「変態」CB野田裕喜が攻守に輝く|大津 5-0 長崎海星

カテゴリ:高校・ユース・その他

森田将義

2014年08月06日

海星のエース平野を封じ込んで狙い通りの無失点勝利に貢献。

規格外のフィジカル能力を持つ野田。準決勝では、前橋育英の攻撃をいかに封じ込められるかが勝負の鍵だ。(C) Masayoshi MORITA

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 高い身体能力の持ち主や、規格外のプレーを見せる選手を、サッカー界では親しみを込めて、「変態」と表現することがある。自チームの選手を紹介する時に、この言葉をよく用いて、チームの代名詞にしているのが大津の平岡和徳監督だ。
 
 2006年のドイツ・ワールドカップに出場した巻誠一郎(熊本)を筆頭に、最近では谷口彰悟(川崎)など数多くの「変態」を育ててきた指揮官が今、期待を寄せているのが、「サッカー選手じゃなければK-1選手になれる」(平岡監督)という181センチ・72キロの恵まれた体格を持ち、俊敏な身のこなしを持つ2年生CBの野田裕喜だ。
 
 準々決勝の長崎海星戦は、開始3分に右SB河原創からのパスを逆サイドから飛び込んだMF坂元大希が合わせて大津が先制。前半32分には相手エリアの中央でボールを受けたMF葛谷将平がドリブルから左隅を狙ったシュートでネットを揺らし、2-0で前半を折り返す。
 
 相手を終始押し込んだ内容を考えれば、その後の展開をある程度は楽観視できるスコア。たが、「人にはトラウマがあって、嫌な空気が流れていた」(平岡監督)と、大津イレブンには2点リードしながら、後半に追いつかれ、辛勝した3回戦・初芝橋本戦が脳裏に過ぎっていた。ミッションは完封だったが、後半が始まると、予想通り逆転を狙う長崎海星はFW平野皓巴を中心とした厚みのある攻撃で大津を押し込み始めた。
 
 それでも、「映像で見て、ボランチとCBでしっかりケアをしようと話していた。仕事はさせなかったと思う」と振り返ったように、守備の軸となる4人が、自在に動く平野のマークを臨機応変に受け渡し、自由を与えなかった。大津の攻撃時にも野田がしっかりと平野に張り付き、前試合で4得点を奪った長崎海星のエースに、一切仕事をさせなかった。
 
「守備だけでなく、攻撃のリズムも作れたので今日は良かった」と胸を張った野田の貢献は、守備だけにとどまらない。中盤での細かいパス回しで相手を揺さぶった前半は、ボランチとのパス交換でリズムを作りながら、機を見て左サイドの坂元へ効果的な斜めのロングフィードを配球。後半は右MFの古庄壱成に長いパスを入れることで、敵陣での時間を作り自陣で奪われるリスクを減らす、流れを読んだプレーも見せた。
 
 そして、後半22分には高さを生かしたプレーも披露。葛谷がゴール前に蹴り込んだ右CKを打点の高いヘディングでゴールに叩き込む。これでチームを再加速させると、大津はその後2点を加えて、5-0で勝利した。
 
 チームの目標は、「日々進化」。そんな大津らしい、3回戦の苦い教訓を活かした戦いの中心にいたのが、野田だったと言っても過言ではない。
 
 初の決勝進出を懸けた次の対戦相手は前橋育英。野田が憧れの選手として挙げる谷口が、09年のインターハイの準決勝で負けた因縁の相手だ。「借りを返したい」と意気込むように、野田には勝利しか見えていない。決勝進出を決めて、さらなる「変態」への成長を遂げるつもりだ。
 
取材・文:森田将義(フリーライター)
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