「何回行ってもスルーパスが来なかった」F・トーレスも嘆く鳥栖の惨状

カテゴリ:Jリーグ

多田哲平(サッカーダイジェスト)

2018年08月02日

清水戦で露呈した稚拙なコンビネーション

F・トーレスは前節の磐田戦に続き、清水戦でも先発出場。しかし、ゴールを奪えないまま途中交代した。写真:徳原隆元

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[J1リーグ19節]清水1-0鳥栖/8月1日/IAIスタジアム日本平
 
 中断明け後、リーグ3試合でノーゴール――。元スペイン代表のフェルナンド・トーレスが加入してもなお得点力不足に喘ぎ、調子の上向かない鳥栖が、17位に低迷している。
 
 鹿島から金崎夢生を獲得し、韓国の蔚山現代から豊田陽平を呼び戻しても、これらの大型補強の効果は、いまだ結果に表れていない。むしろ、前線がそっくり変わったことで、パスを供給する周囲の選手たちは困惑しているようだ。

 
 パス能力に定評のあるMF原川力でも戸惑いを隠せない様子だ。
 
「新しい選手が来て、フォーメーションも変わって……そこの迷いはピッチの中でやっていても感じる。フェルナンドもまだ来て間もないので、出す側も探り探りだと思う。夢生君にしてもフェルナンドにしても、これつけていいのかなとか、これ欲しいのかなとか、そういうのを試合の中で考えながらやっている最中です」
 
 19節の清水戦で露呈したのは、まさに、そうしたコンビネーションの拙さだった。F・トーレスが何度もDFの背後に抜け出す動きを繰り返しても、そこにはなかなかパスが通らず、この新助っ人に少なからずフラストレーションを抱えさせてしまっているようだった。ボールを触れない苛立ちからか、ゴール前でこそ輝くF・トーレスがしびれを切らして何度も中盤まで下がりパスを要求する場面すらあった。
 
「できればディフェンスラインの後ろにボールが欲しいんですけど、何回行ってもスルーパスが来なかった」
 
 試合後にF・トーレス本人がそう嘆かざるを得ないのも仕方ない。それほどの手詰まり感が、この日の鳥栖にはあった。F・トーレスに1度もシュートシーンを作れなかったこの日の低調な攻撃に、キャプテンの吉田豊は試合後、「トーレスがペナルティエリアの中で仕事をしてもらえるような環境を僕らがつくらないといけない」と苦言を呈した。
 
 とはいえ、前節の磐田戦に比べ、明らかにコンビネーションは良化している印象もある。とりわけ小野裕二が負傷退場するまでの27分までは、3トップがポジションを変えながら、ゴールに迫るシーンが度々見受けられた。
 
 原川が「新しいことにチャレンジすることには時間が必要だと思う」と言うように、今は、いわゆる産みの苦しみに耐える時期だろう。
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