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【ロシアW杯総括】ひと言で言えばドラマチック。日本は最高のエンターテインメントを提供した

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2018年07月04日

大会前から話題に事欠かなかった

大迫の決勝ゴールでコロンビアを撃破。これで日本は勢いに乗った。写真:Getty Images

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 ポーランド戦の試合終盤に時間稼ぎをして批判される向きもあった日本代表が、攻撃的な姿勢を貫いたベルギー戦では後半アディショナルタイムに逆転弾を叩き込まれるという劇的な敗戦を喫する。皮肉な運命にもてあそばれているような気もしたが、今大会の日本はひと言で言えばドラマチックなチームだった。
 
 そもそも、ロシア・ワールドカップの開幕2か月前にヴァイッド・ハリルホジッチ監督を解任し、西野朗政権を発足させたこと自体、ドラマチックだ。また本大会に臨む前に前体制では一度も採用しなかった3バックシステムを試したり、スイス戦(6月8日)とパラグアイ戦(同12日)の両方で全23選手を起用したり、西野監督はかなりのエンターテーナーだった。要するに、話題に事欠かなかったのである。
 
 ただ、「トライ」を呪文のように唱えていた西野監督も、結果的にはチームをまとめていた。ガーナ戦(5月31日)で3バックが機能しないと見るやスイス戦から4バックに戻し、スイス戦で先発しながら結果を出せなかった本田圭佑を以後はベンチスタートさせるなどして、コロンビア戦に向けてひとつのチームを作り上げた手腕は今なら評価できるだろう。
 
 パラグアイ戦でゴールに絡んだ乾貴士、香川真司など当初はサブ組と見られていた面子をコロンビア戦に抜擢して公平さ──誰も特別扱いしてない──を保ったことは、選手のモチベーションを維持するうえで重要だったのではないか。
 
 選手の自主性を重んじ、意見を聞き入れるスタンスも奏功して、大会前、監督批判なるものは選手サイドから一切聞かれなかった。むしろリスペクトする声のほうが多く、パラグアイ戦の勝利を境にチームの雰囲気は良くなっていった。
 
 そして迎えたコロンビア戦、これがまたドラマチックだった。前半3分に香川真司のシュートを手で阻止したとして、コロンビアのMFカルロス・サンチェスが一発退場、しかもPK獲得とにわかには信じ難いことがいきなり起こったのだ。
 
 このPKを香川が成功させて先制。一時は同点に追いつかれながらも78分には途中出場の本田圭佑のCKから大迫勇也がヘッドで決勝ゴールを挙げる。ブラジル・ワールドカップで「何もできなかった」と悔やんでいたストライカーが大事な初戦で結果を残したことで、チームのムードはさらに良くなった。
 
 ワールドカップでの初戦白星、さらにこれまで相性最悪だった南米からの勝利。今大会を総括するうえで、最大の分岐点はこの勝点3だった。「行ける」という手応えを掴めた意味でも、とてつもなく大きなものだった。
 
 そのコロンビア戦に続くセネガル戦でも2-2と勝点を獲得。日本にとって、二度のビハインドを追いつくのはワールドカップ史上初めてのことで、確かな勢いがあった。ここで特筆すべきは、乾貴士と柴崎岳の活躍だった。
 
 パラグアイ戦で2ゴールを決めた乾は、その勢いをそのままにセネガル戦でも同点弾と今大会に限れば“ラッキーボーイ”だった。ワールドカップのような短期決戦ではそういう存在が不可欠で、その意味で乾の活躍は印象的だった。
 
 また柴崎はゲームメーカーとしてコロンビア戦、セネガル戦で見事な役割を果たす。セネガル戦の同点ゴールを生むきっかけになった長友佑都へのフィードは芸術品で、チームが勝点4を積み上げるうえで素晴らしい働きをした。
 
 さらに言えば、コロンビア戦のアシストに続き、セネガル戦でゴールを決めた本田のスーパーサブぶりも光った。失点を重ねているとはいえ、CBの吉田麻也と昌子源、両サイドバックの酒井宏樹と長友佑都も要所を締めた守りで存在感を示していた。
 
 一方で、批判にさらされたのがGKの川島永嗣である。セネガル戦でパンチングミスから先制点を奪われるなど明らかに精彩を欠いており、本人も自信喪失しているような印象を受けた。実際、川島は2戦目が終わった段階で西野監督に相談している。そういうところからも彼の苦悩は垣間見えた。
 
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