６月24日に行なわれたロシア・ワールドカップのグループG第２戦で、パナマはイングランド相手に６失点して大敗した。だが、記念すべきワールドカップ初ゴールを挙げている。

　歴史が動いたのは、０-６と大差をつけられて迎えた78分だった。リカルド・アビラのFKに、フェリペ・バロイがスライディングをしながら右足で合わせ、ネットを揺らしたのだ。これが、初出場のパナマにとっては忘れられないワールドカップ初ゴールとなった。

　英紙『Guadridan』はパナマ現地レポで、「その瞬間、国全体が叫び、爆発した」と伝えている。

「パブリックビューイング会場の駐車場ではビールが空を舞い、巨大スクリーンでバロイのゴールシーンが繰り返し流れる中、大勢の人々がジャンプし、祝い、キスをし、ハグをした」

『Guadridan』紙は、「その時パナマの人々は、イングランドに奪われた６ゴールのことを忘れ去った」と表現した。

「パナマの人々の心中では、スコアはパナマの１-０での勝利なのだ。そしてバロイは新たな英雄となった」
 

　また『AP』によると、37歳120日での得点は、ワールドカップの最年長得点ランクで４位に入るものだという。バロイは試合後、この初ゴールがパナマにとって、「大きな、重要な何かを意味するものだと思う」と喜んだ。

「イングランドは強いチームで、素晴らしい選手たちがいる。僕らは多くを学んでいるところなんだ。結果は残念だけど、初ゴールは重要だった」

　現地時間28日にチュニジアとの最終戦を残すパナマだが、2001年から約18年に渡って代表チームを引っ張ってきたバロイは現在レギュラー選手ではないため、このイングランド戦が代表最後の試合になる可能性もある。

　彼の功績を熟知する同国代表のエルナン・ダリオ・ゴメス監督は、「バロイのゴールには、私も感傷的にならざるをえなかった。涙がこぼれ落ちそうになったよ」と明かした。

「彼はキャリアの終わりにあり、今大会を最後に代表チームから引退する。神様が彼にチャンスを与えてくれたんだ。プロフェッショナルな彼が、この美しいゴールを決められるようにとね」

　同じ37歳のチームメイト、ブラス・ペレスは、バロイがメモリアルゴールを決めたことに感無量の様子で、オーストラリア『fourfourtwo』によるとペレスは、「彼はあのゴールにふさわしかった」と賛辞を寄せた。

「彼は素晴らしい選手であり、素晴らしい人間なんだ。とても美しい心の持ち主なんだよ。パナマ代表のワールドカップ初ゴールを決めたのが彼で、僕たちはみんなとても喜んでいるんだ」

　またペレスは、「結果はあまり良くなかったが、僕らは重要なことをたくさん学んでいる。ワールドカップは貴重な経験だからね」と、ロシア大会がパナマにとって大事な第一歩になると強調した。

「僕たちはパナマの人たちを幸せにしたかった。国が団結することが、僕らにとって非常に重要なことなんだ」

　20年前の日本と同様に、初出場のパナマにとって、2018年のロシア大会は忘れられない大会となる。大きな一歩を踏み出した彼らの今後に注目したい。